株式会社リョケン

旅館経営の知恵

-リョケン研究員が
お届けする経営のヒント-

読んで見直す 料理提供の基礎(4)
会場別のポイント

読んで見直すシリーズ

前回に続き、 会場別のポイントを見ていきましょう。

1.客室での料理提供

 

従来は日本旅館では当たり前のことでしたが、客室での食事に対して、今はむしろ特別な期待感があります。

 

(1)プライベートな空間として配慮

また、お客様にとって「自分達の部屋」というプライベートな空間としての意識も高く、無神経な出入りをしないよう気をつけなければなりません。
あくまでもお客様の部屋なので、いくらお支度のためといっても、了解なしに入室してはいけません。食事の時間を承ったら、その何分くらい前にお支度に上がるか伝えておきましょう。

さらに、おうかがいの前に電話を入れ、今からうかがってよいか確認することも良い方法です。特に、露天風呂付の客室などは、これを徹底しなければなりません。

 

(2)客室でのマナーと配慮

お食事中はもちろん、料理を並べる時も片付ける時も、和室では腰を落とし、膝をついて行ないます。

ごはんをおひつでお持ちする場合、女性のお客様にお任せにせず、一膳目はこちらでよそうこと。せっかく日頃の家事から解放されてくつろいでいる女性のお客様にこそ、喜んでいただきたいものです。

部屋を出る前にお飲み物の進み具合を気にかけ、電話をいただかなくてよいように、こちらからおうかがいしましょう。

 

 

2.椅子テーブル席での料理提供

(1)スタート時の対応

食事会場で何組かのお客様に同時に提供する場合、ご案内と飲み物の提供が集中するので、特に始まりの応援体制をとります。

 

(2)椅子テーブル席での料理の扱い

和食器は片手での扱いが難しいので、盆を置ける脇テーブルやワゴンを用意すると、サービスがしやすくなります。
脇テーブルやワゴンを使う時は、上段に料理の盆を置き、下段に下げた器を置くようにしましょう。
脇テーブルもワゴンもない時は、お盆を片手で持ったまま片手で扱いやすい器を選びます。また、空いた器を料理ののっている盆にのせないようにするため、空いた器を一度テーブルの端に置き、料理を出し終えてから盆に取るようにします。

 

(3)お客様とのコミュニケーション

食事会場で担当する席を決めている場合、自分の担当するお客様の情報を予め確認しておきましょう。どちらから来られたのか、お子様の年齢とお名前、リピーターのお客様か、などは会話のきっかけになり、お客様に和やかな食事の場を提供することができます。
また、自分の担当でないお客様に呼びかけられたら、用件を承ります。担当に代わって対応したら、担当にその旨伝えることを忘れないようにします。あるいは、用件を担当に伝えて対応を任せます。

 

 

3.宴席での料理提供

(1)チームワークを発揮するための情報共有

複数の係が共同して接客を行なうため、お客様に関することや進行についての情報を共有することが重要です。
大きな宴会でなくとも、営業担当や打合せをしたフロント係が同席して、開始前ミーティングを行なうとよいでしょう。
宴会担当のリーダーは、お客様と社内双方の窓口になり、宴会中の情報を集約し、発信します。

 

(2)席分担

席を分担することは、効率よく効果的な宴会サービスを実現するために最も重要なことです。
特に、リーダーは幹事様の席を受け持つ、川流れの席は1列ずつではなく向かい合わせで受け持つことを理解し、分担を決めます。
席分担をしたら、責任を持って自分の担当している席に料理を付け、飲み物の配慮をします。少なくとも、料理の付け忘れや数合わせで苦労することをなくさなければいけません。

 

(3)円滑な運営は飲み物の対応次第

宴席では特に、飲み物の対応に気を配らなければなりません。ですから、乾杯後は、まず飲み物を十分に対応します。料理もお鍋の火も、その後で十分なのです。
宴会中も、料理をおつけしたり器を下げながら、飲み物について「お飲み物は足りてらっしゃいますか。」「おあとのお飲み物はいかがいたしましょうか。」などと自分からお声かけします。お客様をお待たせしない、自分の動きも混乱しないために必要なことです。

 

 

4.オープンキッチンなどの調理担当者の対応

調理担当者がお客様の前に出ることそのものが、すばらしい演出・おもてなしです。

(1)身だしなみ

お客様の注目をあびるのですから、第一に清潔な身だしなみを心がけます。調理は作業でも、お客様の前では接客の身だしなみが必要です。

 

(2)挨拶

挨拶は、お客様と向かい合ってするものです。調理の途中であっても、お客様に気付いたら、一瞬手を止め、顔を上げて笑顔で答えます。

 

(3)和室マナー

和室に出向く際は、一連の和室動作に習熟しておきたいものです。客室係でないから立って襖を開けてもよいだろうなどという考えではいけません。

 

(4)お客様への配慮とコミュニケーション

せっかくお客様の前で手を加えているのですから、お客様の要望をあえてうかがう小さな対応を取り入れましょう。切り分けは小さめがよいか、たれはたっぷりがよいか少なめがよいか等をうかがうことで、お客様に合わせたサービスとコミュニケーションを楽しんでいただけます。

 

 

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