株式会社リョケン

旅館経営の知恵

-リョケン研究員が
お届けする経営のヒント-

忘れ物の取り扱いルールの共有(第2回)

接客現場のオペレーション

2.宿泊約款記載例と検討課題

■国土交通省「モデル宿泊約款」(宿泊客の手荷物又は携帯品の保管) 第16 条 の一部抜粋(例)
 
1.宿泊客の手荷物が、宿泊に先立って当ホテル( 館) に到着した場合は、その到着前に当ホテル( 館)が了解したときに限って責任をもって保管し、宿泊客がフロントにおいてチェックインする際お渡しします。
 
2.宿泊客がチェックアウトしたのち、宿泊客の手荷物又は携帯品が当ホテル( 館) に置き忘れられていた場合において、その所有者が判明したときは、当ホテル( 館) は、当該所有者に連絡をするとともにその指示を求めるものとします。ただし、所有者の指示がない場合又は所有者が判明しないときは、発見日を含め7日間保管し、その後最寄りの警察署に届けます。
 

(1)お客様の連絡先として携帯電話番号を聞いていることが多く、チェックアウト後すぐに連絡が取れれば、まだ近くにいるような場合は引き取りも早くできて、お客様と宿泊施設側双方にメリットがあります。プライバシーのことが懸念されることもありますが、施設によってはあらかじめ「連絡先」を記入いただく際に、「ホテルからの確認や忘れ物などの連絡をさせていただくことがあります。」と明記している例もあります。
 
(2)このモデル約款では「発見日を含め7日間保管し、その後最寄りの警察署に届けます。」としていますが、前述通り特例施設占有者の場合は異なります。
 
(3)この例では記載されていませんが、飲食物だけでなく廃棄物に相当する物品(食べ残しやゴミとして想定されるものなど)を、遺失物規定を定めて、それに従って翌日に処分するといった内容を明示することも検討しましょう。こうした場面では、ゴミだと思って処分してしまった後で、お客様から連絡をいただいて騒動になる事例も多いですが、お客様に約款としてあらかじめ明示することで、その対策にもなるでしょう。施設によっては、フロアごとにゴミをまとめた上でフロア名を袋に記入し、翌日処分(業者に引き渡し)しているところもあります。滞在客室のゴミについては、これを部屋ごとにすることで、さらに万全の対策になります。
 
お客様の大切な忘れ物をめぐるトラブルは、身近な問題です。全館共通のルールを明確にし、各部署で認識や運用に違いがないか今一度見直して、万が一の際にも落ち着いて対応ができるようにしましょう。

テーマ

最近の投稿

忘れ物の取り扱いルールの共有(第2回)
忘れ物の取り扱いルールの共有(第1回)
大浴場での衣類の取り違えなどのトラブル
売上至上主義を疑う
離職を防ぐ!求められる現場の対応力 第八回 ~本音を聞いてからのアプローチ~

最新人気の記事