株式会社リョケン

旅館経営の知恵

-リョケン研究員が
お届けする経営のヒント-

読んで見直す旅館の接客-基礎編(1)-
喜ばれる存在になりましょう

接客サービスの品質向上

読んで見直す旅館の接客「基礎編」では、4つのテーマで接客の力を高める内容をお届けします。

【テーマ1】喜ばれる存在になりましょう。
【テーマ2】コミュニケーションをとりましょう
【テーマ3】会話力を高めましょう(準備編)
【テーマ4】会話力を高めましょう(実践編)

1週間に1テーマを配り、感想や質問を書いて提出し、先輩・上司がコメントをして返却するというように、コミュニケーションの向上を図るための素材としても活用いただけます。

まず、1つ目のテーマは、「喜ばれる存在になりましょう」です。

1.第一印象について

どのくらいの時間があれば、初めて会う相手の印象をとらえることができると思いますか。第一印象と実際が違うということはよくあることですが、実は0.6秒あれば何らかの印象をとらえられるという報告がなされています。
これは、私たちがお客様に見られた瞬間に、どんな人か判断されているということを意味しています。
そしてこの最初の印象が良いか悪いかで、その後の私たちの接客に対する評価やお客様の満足感が大きく左右します。

2.第一印象の影響

ほんの少しのミス、例えばエレベーターでご案内する階と違う階のボタンを押してしまったというようなミス(本当は防がなければならないミスですが‥‥)が起きた時のことを考えてみましょう。
お客様がロビーで初めてそのスタッフを見た時、うつむきかげんに立っていたとすると、おそらく「あの人、なんだかやる気がなさそうねぇ。」と思われていたでしょう。その人が案内してくれることになり、エレベーターのボタンを押し間違えたのですから、「こんなふうにいつも注意が足りないのではないかしら。」と思われるかもしれません。すぐに訂正しお詫びしても、不機嫌になったままかもしれません。
逆に出会いの印象がよかった場合はどうでしょう。「申し訳ございませんでした。」と言ってボタンを押し直すだけで、「いいですよ。」とミスを許してくださり、さらに謙虚な姿勢を評価してくださるかもしれません。

また、少し気の利いた接客、例えばひどい雨の日に肩をぬらして到着されたお客様に、乾いたタオルをお渡しするというような気遣いをしたならば、最初の印象が悪いと思われている場合は、「そういうきまりになっているのだろう。」などと、本人の資質や努力を認めてもらえないことになりかねません。逆に好意的に思われている場合は、「なんて気が利くんだろう。助かるなぁ。」と、素直に喜んでくださるはずです。

もう、おわかりですね。今回のテーマ「喜ばれる存在になりましょう」を実践するために、私たちはまず印象の良い人である必要があります。
印象の良い人がするからこそ、サービスは実際の行為以上の価値を生むのです。お客様に喜んでいただくのは、サービスを提供する私たちの存在そのものなのです。
お客様に「この人のおかげで楽しい時間が持てた」「この人に出会えてよかった」と思っていただける、「喜ばれる存在」を心がけましょう。

3.良い印象が出せるように

一生懸命に仕事をすると体は疲れます。しかし、心を疲れさせないように気をつけてください。心に疲労がなければ、体の疲労も軽減されます。
そのうえで、いつでもどんなお客様にでも、「この人に対応してもらってよかった。」と思っていただけるように、活き活きと行動しましょう。
良い印象に感じられるポイントは、次の3つです。

• よいあいさつ
• よい返事
• よい動き

4.基本を身につける

よいあいさつ、よい返事、よい動き、に共通するのは、「発声」「笑顔」「姿勢」という3つの基本です。
この基本を習得するためにすべきことは、ほんの少しです。わざわざ時間を作る必要もありません。ただ毎日の仕事の中で、思い出した時に、繰り返し意識してみることが大切です。意識しながら行動する→繰り返す→習慣になると変わってくれば、そこから先は、いつでもよいあいさつ、よい返事、よい動きができてしまうものです。

意識すべきポイントは、次のとおりです。

「発声」
とにかく口を思いきりしっかりと動かして話す。特に「イ」のつく音は口をしっかり横にひっぱるように言ってみましょう。
朝の第一声「おはようございます。」を意識的に発声することは、効果大。固まっている口のまわりの筋肉をほぐすつもりで、言ってみましょう。

「笑顔」
前述の発声をしっかりすると、顔の筋肉が柔らかく動きやすくなるので、自然に表情が豊かになるものです。笑顔は気分がよい時の表情なので、あとは楽しい気分やうれしい気分を持ち続けていれば、本物の美しい笑顔が出てきます。出てくるのであって、決して作られるものではありません。
口元以外にもうひとつ意識してみるとよいところが、目元です。
時々、目を大きく見開いたり、眉毛を大きく上げ下げしたりしてみましょう。表情がいっそう豊かになってきます。

「姿勢」
背筋を伸ばすとよい姿勢になることはだれでも知っていますが、なかなか思うように身についていないようです。意識するとよいのは、腰をのばすこと。そのためには、いつも頭の上から糸で引っ張られているような気分になってみてください。
猫背がちの人は、背中を伸ばす意識よりも、肩を少し後方に開くように意識する方が、やりやすいかもしれません。あるいは、胸を開く感じです。

5.もうひとつの「喜ばれる存在」

私たちは、お客様ばかりでなく、共に働く仲間にも喜ばれる存在でありたいものです。
「いてくれてありがとう。」「一緒に頑張れてよかった。」とお互いの支えを認め合える職場を創っていきましょう。

(リョケン研究員 大西ますみ)

◆リョケンでは、旅館・ホテルの接客力向上のための講座を定期的に開催しています。研修の講師派遣も承ります。また、書籍・eラーニング接客講座もございます。
○サービス技能向上講座
○動画で学ぶ旅館の接客プロのコツ-接客研修eラーニング講座-
○リョケンの書籍・教材
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