株式会社リョケン

旅館経営の知恵

-リョケン研究員が
お届けする経営のヒント-

読んで見直す ことば遣いの基礎(3)
言いにくい場面のことば

接客サービスの品質向上

読んで見直す ことば遣いの基礎 今回は言いにくい場面のことばを見ていきましょう。            

1.印象のよいことばを選ぶ

言いにくい場面の受け答えであればなおのこと、印象のよいことばを選びたいものです。
ただし、ここで言う“印象のよいことば”は、ていねいであるとか正しい敬語という意味ではありません。相手の方が受け容れやすいことば、という意味です。

 

また、お客様はたとえ要望が通らなくても、自分のために考えてくれている人のことばや気遣いのあることばを、誠実に取り組む姿勢と受け止め、理解を示してくれるものです。

 

* わからない時

『かしこまりました。それでは、お調べしてお返事いたします。
お待ちいただいてもよろしいでしょうか』

×「すみません。私は聞いていないので、わかりません」
ていねいに「申し訳ございません。私はわかりかねます」と答える人もいますが、さらに慇懃無礼な印象を与えてしまいます。
知りたいと思うお客様のために何ができるかを答えることが、大切です。

 

 

* 他の担当に代わりたい時

『かしこまりました。大切なお話ですので、担当者に代わりたいと思います。お待ちいただいてもよろしいでしょうか』

×「私ではお返事できませんので、担当者に代わらせていただきます」
当然のことと思って、このように答えることがよくありますが、お客様によっては、「十分な知識を持っていない人」という印象を持つ方もいるでしょう。

特に苦情に対する受け答えでは、この言い方はかえって反感を買うことにつながりかねません。
なぜ担当者に代わるのかの理由が、印象を左右します。

 

 

* 他の担当者の対応についてご注意いただいた時

『それは申し訳ございません、すぐに確認いたします』
『それは申し訳ございません、責任を持って申し伝えます』

×「(私の担当ではないので)、担当者に言っておきます」
自分は関わりがないという態度は、たいへん印象の悪いものです。チームワークが取れていないから、よいサービスが受けられないのだと、お客様は想像してしまいます。
私たちの問題としてとらえているかどうかが、問われます。

 

 

 

2.言いにくいことを伝える時の心得

どのように考えれば、言いにくいことも相手の方に受け容れてもらいやすくなるのか、基本的な心得を確認しておきましょう。

 

*“お願い”を“おうかがい”のことばで伝える

「こちらでお待ちくださいませ」⇒『こちらでお待ちいただけますでしょうか』

 

「~してください」
「~してくださいませ」
「~していただけますでしょうか」
「~していただけませんでしょうか」
の順に、丁重さのレベルが上がります。

 

 

正しい間違いではなく、相手の方の心情を合わせて、丁重さのレベルを選ぶことが大切です。

 

一般的には「お待ちくださいませ」と言いますが、こちらの不手際でお待ちいただくような場合は、上記のようにおうかがいを立てるほうが無難です。

 

また、苦情の申し立てを受けている時などは、さらに否定疑問文を使って謙虚さを付け加える言い方にすることもあります。

 

「本当は味がよいのですが、無農薬なので虫食いがあったり、大きさも不揃いなんです」⇒『無農薬なので見た目が悪く、大きさも不揃いですが、味は本当によいのです』

 

* 短所を先に述べ、長所で話をまとめる

 

日本語の文章は、結論的な内容が後ろにきます。ですから、この例のように長所を後ろに置くだけで、同じふたつの内容を伝えていても、誠実なおすすめとして表現されるのです。

 

* NOの返事を、肯定的なことばに置き換える

 

「こちらのお酒は、あいにく小瓶はご用意しておりません」⇒『別の銘柄ではございますが、こちらの○○は、小瓶のご用意がございます』

ご要望に応えられないのは残念ですが、それで終わってはいけません。
お客様に“できる・できない” “ある・ない”を伝えるだけでは、まったく心無い応対と言わざるをえません。

肯定的な返事をするために考えるべきことは、

できること + 要望に近づく代わりの提案 + その提案の魅力です。

ご要望どおりでなくとも、どうすればお客様に楽しんでいただけるのか、ご満足いただけるのか、内容を考えてことばに表わしましょう。

結果的に、代わりの提案が受け入れていただけないこともありますが、お客様の心には、あなたの誠意とお客様を想う熱意が伝わっているはずです。

「ご連絡先の電話番号もご記入いただけますか」⇒『お差し支えなければ、ご連絡先の電話番号もご記入いただけますか』

 

* クッションことばで、気持ちを添える

 

ストレートにお願いしにくい時、尋ねにくい時、断りにくい時の特効薬は、クッションことばです。
遠慮の気持ち、申し訳ない気持ち、残念な気持ちを添えることで、相手の方に受け入れていただきやすくなります。

 

< クッションことば >

・おそれいりますが       ・よろしければ
・失礼ですが          ・申し訳ございませんが
・お手数ですが         ・あいにく
・お差し支えなければ      ・せっかく
・お時間をいただければ

 

 

 

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