株式会社リョケン

旅館経営の知恵

-リョケン研究員が
お届けする経営のヒント-

読んで見直す 料理提供の基礎(2)
美しい提供動作

接客サービスの品質向上

前回に続き、 料理提供の基礎を見ていきましょう。

1.テーブルの拭き方

お料理を並べる前、お食事がお済みになった後、必ずテーブルを拭きます。あまりに汚れていたりする場合には、お食事中でもテーブルを拭くことがあります。きれいに拭きあげるためだとわかっていても、時々気になるのが、食べこぼしなどがテーブルから落ちていないかしらというような拭き方です。

 
手を左右に動かしていると、テーブルの端から食べこぼしなどが落ちてしまいます。その後、畳や床、椅子の上をあらためて掃除しますでしょうか。
お客様が座っている前でテーブルを拭く場合には、膝に食べこぼしが落ちそうで大変気になります。

 

合理的な動きは、無駄がなく、見た目にも美しいものです。身につけるためには、職場だけではなく、自分の家のテーブルも同じように拭きましょう。

テーブルを拭く動作も、おもてなしの一部です。プロらしい姿を見ていただきたいものです。

 

 

 

2.器の扱い方

器などの正しい扱い方は、美しさのためばかりではありません。手際のよい提供の助けにもなりますし、誤って落としたり、盛り付けを崩したりすることを防ぐためにもなります。

 

口のふれるところには、手をかけないようにします。指先をまげて器の内側にかけてはなりません。どうしてもふちに手をかける時は、親指を直角に当てず、ふちと並行に置くように心がけましょう。ふたのかかっている器でも、上からわしづかみにしてはなりません。

 

本来、和食器は、お盆を畳に置いて両手で扱うことを前提に作られていますから、やむを得ず片手で扱わなければならない時は、手をすべらせたりしないように十分な注意が必要です。

 

基本の持ち方のひとつは、お皿などの高さのない器の扱い方で、片手でしっかりと持ち、もう片方の手を添える持ち方です。

 

もうひとつの持ち方は、お椀や茶碗など糸じりの高さがあるような器の扱い方で、両手で糸じりを横からはさむようにする持ち方です。
大きな器は、お盆を持つような要領で持ちます。両脇から親指以外の指を器の下にまわし入れ載せるように持ち、親指を軽くふちに当てます。

 

さらに、料理にはすべて正面があります。お客様に正面が向くように位置を正してから、置くようにします。

 

グラスの持ち方には、音を立てないように置くためのコツがあります。グラスを手に取る時に、小指を少しはねて薬指のわきがお盆の面に触れるようにしてグラスをつかみます。こうすると、グラスを置くときに先に小指がテーブルに当たるので、おそるおそる置かなくても大きな音を立てずに済みます。

 

 

 

 

 

3.料理の運び方

まず、正しい「立ち方・歩き方」を確認しましょう。美しい姿勢は、身体に無理がなく、料理などを運んでいても身体の軸がぶれないので、腰に負担がかかりにくいものです。
1本の線をはさむように足をそろえて立ち、腰をしっかりのばすようにします。この時、重心はややつま先よりに感じるようにします。
歩く時は、腰を前に押し出すような気持ちで歩きます。ひざを伸ばすことを心がけると、颯爽とした姿になります。

 

物を美しく運ぶための心得は、「重いものは軽やかに、軽いものは重々しく」ということです。ていねいさと扱いになれた安心感を表現しましょう。

 

和盆は、両手を盆の両脇から下に当て、親指だけふちに軽く添えるようにします。盆をつかむのではなく、手に載せているようにします。つかんでいると手が滑ると落としてしまいますが、載せているものは落としようがありません。
長手盆(脇取り)などの大きな盆には持ち手がついていますが、これは持ち上げる時に使うのであって、運ぶ時は基本の通り、4本の指を底板に当て、親指をふちに添えるようにして扱います。

 

料理を運ぶ時は、おいしく見える高さ、すなわち胸の高さ「乳通り」に盆を持ちましょう。
また、器を下げる時は、目立たずに運ぶ位置、おなかの前「帯通り」に持ちます。

 

 

 

4.取り分けとお給仕

お客様の前で、料理を取り分けたり、ごはんをよそうことがあります。正しい扱い方を身につけて、手際よく美しく提供できるようにしておきましょう。

 

取り分けをする時は、取り皿をのせた左手を料理の近くまで寄せて、料理を移しのせるようにします。取り皿が料理から遠いと、料理をつるしているように見えておかしいものです。また、手間も余計にかかりますし、端から落ちる失敗も増えます。

 

テーブルやお盆に取り皿を置いたまま料理を分けることもあります。一度に数枚の皿に平均的に取り分ける時には、そのようにするでしょう。
ただし、せめて仕上げのあしらいを付けたり、たれをかけまわしたりする時には、取り皿を左手に受けて扱ってみましょう。

 

次にお給仕ですが、ごはんは「盛る」のではなく「よそう」ものです。「よそう」は「装う」が語源であるように、おいしく見せる心がけが必要です。

 

しゃもじは握るのではなく、ペンを持つような手つきで柄を持ち、手のひらをかえすようにしながら、ごはんをつけます。
ごはんは、2回半でよそいます。茶椀のまん中、向こう、手前に少し、しゃもじを持つ手を手前に返すようにして、ふっくらとよそいましょう。茶碗に7~8分目が適当な量です。

 

ごはんを1回でよそうことや、よそってから丸く形を整え直すことは、仏前に供えるごはんに通ずるので、接客の場でしてはなりません。

お客様から「少しで結構ですよ」と言われたら、少なく2回でよそいます。

 

 

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