旅館経営の知恵
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読んで見直す旅館の接客-基礎編(3)-
会話力を高めましょう(準備編)
読んで見直すシリーズ
私たちは日頃から、話しかけてもらってうれしいと思う相手や会話がはずむ相手がいる一方で、話しかけられて何となくわずらわしいと思ってしまう相手や会話が続かない相手がいることを経験しています。 まさか自分が後者になっているなどとは、思いたくはありません。どうしたら、気持ちのよい会話ができるのか考えておきましょう。
1.気持ちのよい会話をするための基礎 その1
会話の相手がお客様ではなく親しい友達であれば、話を始める時に自然に考えていることがあります。それは、話をするタイミングはよいか、その話題は気分を悪くするようなものでないかなどです。
自分の話したい気分にまかせて話をしているわけではないはずです。
また、友達に話しかけられた時は、その話に気持ちを合わせるように熱心に聞き、自分の考えを重ねていくように話をするでしょう。
実はこれが気持ちのよい会話をするために、まず大切なことなのです。
相手が友達からお客様に代わっても、この考え方は同じです。いつでも相手の気持ちを察する気持ちを働かせながら会話をしましょう。
私たちの心、つまり感じ方・考え方こそが、聞いていて気持ちのよい会話の決め手なのです。
2.気持ちのよい会話をするための基礎 その2
さて、友達とは気持ちよく会話ができる人でも、相手がお客様となると気持ちを働かせているはずなのに会話がぎくしゃくすることがあります。その場合は、表現のしかたが相手の方に合っていないのではないかということを心配しなければなりません。
発声・表情・ことばの選び方などの表現を、いつもお客様に感じのよいもの、受けとめていただきやすいものにしておくことが求められます。
友達と同じような話し方やことば遣いではなれなれしいと思う方もいるでしょうし、ていねいなことばでもぼそぼそとした声や硬い表情で話されれば、聞きづらいと思う方もいるでしょう。
まず気持ちを働かせ、次に表現力を高めることができれば、私たちの会話はもっとお客様に喜ばれるものになるはずです。
3.親切に話す
親切に話すというのは、相手の方がよくわかり、そうかと呑み込めるように、落ち着いて順序よく具体的に話すということです。
文章表現は読み返しができますが、会話表現はそれができないのですから、話し手が気を配らなければなりません。
館内の説明は、お客様にわかりやすいように話す順序が組み立てられているか、まわりくどいことばがないか、逆にことばが足りないところはないかなど、見直してみましょう。
はじめは決められたとおりに話すのが精一杯だった人も、慣れてくればお客様に合わせたり、自分なりの工夫を加えたりして、話し方を変えているはずです。
時には説明が自己流になり過ぎて、お客様本位の話し方から外れていないか、チェックしておかなければなりません。
チェックの仕方は簡単です。説明している時のお客様の様子をよく見ていれば、自分の話し方に改善の余地があるかどうかが、すぐにわかります。
「えっ」と聞き返されるような表情をされたり、説明しているのに違う方向を見ていたり、お客様同志でお話に夢中になっていたり、という様子は、私たちの話し方や説明の内容が、お客様に受けとめにくくなっている表れです。
つまり、常に親切に話すためには、お客様をよく見ていて、ことばを補ったり、ことばを変えたり、話すテンポやタイミングを変えたりしていくことが必要だということです。
4.わかりやすく話す準備
また、よく尋ねられる質問などにも、館内の説明と同じようにある程度の準備をしておくと、だれでもお客様にわかりやすく適切な返答をすることができるようになります。
質問の答え方に言いよどみがあると、お客様は不安を感じます。すっきりとわかりやすい答え方をすれば、お客様は安心してそのことばを受けとめ、私たちと私たちのホテル・旅館に対して信頼感を持ち得てくださるはずです。
会話の中には予め準備ができるものがありますので、お互いの知恵を出し合って、答え方のヒント集を作っておきましょう。
5.聞きやすく話すための準備(表現力)
心がけておきたい準備が3つあります。
(1) 聞き取りやすい声・・・明瞭な発声。口がきちんと動いている。声に勢いがある。届く声。
(2) 豊かな表情・・・笑顔だけでなく、豊かな感情を表す様々な表情。
(3) 清潔な口・・・口臭のない息。歯や口元の美しさ。虫歯の治療をし、食事後の汚れのないように。
6.会話力を高めるコツ
次の2つが、私たちの話し方を上達させる近道です。
(1) 心を育むこと・・・人との出会いの中で、自然との関わりの中で、感じること、考えることに努めましょう。
(2) ことばを磨くこと・・・話が上手だと思う人のことばをよく聞き、まねてみましょう。
豊かな会話が豊かな時間を創りだしています。
(リョケン研究員 大西ますみ)
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