株式会社リョケン

旅館経営の知恵

-リョケン研究員が
お届けする経営のヒント-

読んで見直す ことば遣いの基礎(1)
慣用句でイメージアップ

接客サービスの品質向上

今回は、ご要望の多い「ことば遣い」を取り上げます。

ことば遣いについてよく耳にする話は、「最近の若い人は、変わった言い回しをするので直すのに苦労します」「どうしてアクセントのおかしな話し方をするのでしょうか」という、おそらくご自分より若い世代の方々についての悩みです。

一方アンケートでは、ベテラン社員さんに対して「なれなれしい話し方が気になりました」「もてなしを受けているというより、言い聞かされているような気分でした」などという辛らつなご意見も寄せられます。

ことばには、話す人の考え方・感じ方が表れます。少なくとも、聞く人はそのように受け止めるでしょう。また、仕事への熱意や向上心といった人柄さえ映します。
コミュニケーションの基礎である『ことば遣い』を、4つのテーマに分けてじっくり磨きましょう。

 

 

【テーマ1】: 慣用句でイメージアップ
【テーマ2】: 印象を損ねる言いまわし
【テーマ3】: 言いにくい場面のことば
【テーマ4】: 美しいことばとしての敬語

 

 

1.まず、慣用句

敬語の使い分けを気にかけ過ぎて、ことばに詰まる人や話しかけるタイミングを逃してしまう人がいます。また、ことばのクセに本人が気付いていないことや、注意しても直らないこともあります。

そこで、慣用句です。慣用句は、常識の程度を容易に伝えます。使うだけで幼稚さが消え、仕事ぶりへの期待感を与えます。
また、返答や呼びかけ、話し始めに磨きをかけるだけでも、全体の印象がずいぶん変わります。ていねいに話す努力をしていること、ことばに気を遣っていることを、聞く人は少なからず評価してくれるものです。

しかも、慣用句は使う頻度が高いので、使って覚えるには好都合です。『習うより、慣れよ』は、まさにことば遣いに当てはまります。

 

 

 

2.ていねいさを伝える『魔法のことば』3語

魔法とは少し大げさなようですが、実際にとても効果的です。このたった3語を心がけるだけでも、ていねいに話している印象が十分に伝わります。

私は社会人になったばかりの頃、多くの人と同様に、使い慣れないことばを話すことに苦労をしていました。本を読めば読むほど困惑し、話すことに不安が募るような気分でした。
ある時「一番よく使うことばは何だろう」と思って気にかけていると、必ず出てくるのが、『相手を指し示すことば』『自分や自分の会社を指し示すことば』『文章の終わりのことば』の3語であることがわかりました。

それで、その3語だけを気をつけていれば、度々出てくる分、ていねいなことばの量が増えるかもしれないと考えました。
使ってみると、すぐに効果が表れました。

営業から戻った先輩社員に「○○社の電話を受けたのは、あなたですか。先方の社長が“今度入った人らしいけれど、ていねいなことば遣いに感心したよ”と言われたので、鼻が高かったよ。」と、言ってくれたのです。
何もできない自分が少しは役に立てたように思えたこの出来事を、今でもうれしく思い出します。

さて、その『魔法のことば』は、次の3語です。

*『お客様、○○様』
接客の現場だけではなく、指示・伝達や社内の会話の中でも徹底しましょう。
「今日のお客は・・・」などと話をしているようでは、ことば遣いどころか、心の教育にもほど遠いものと思われます。

*『わたくし、わたくしども』
自分のことを「わたし」「ぼく」あるいは「自分」と表現する人も多いのですが、稚拙な感じがします。
また、自分の会社は「うち」「手前ども」と言うより、「わたくしども」と表現するほうが、社会的な印象が向上します。

*『・・・でございます』
これは単純に『です』の言い換えです。
次のふたつを口に出して読んでみてください。
「こちらです」→「こちらでございます」
「そうです」→「そうでございます」
ずいぶん印象が変わるのを実感していただけると思います。

 

 

 

3.接客の常識『接客基本用語』8語

これらのことばは、日常の様々な接客の場面で聞かれることばだけに、お客様にとっての“常識”となっています。つまり、他のことばでは“レベルが低い”と思われてしまいます。

*『いらっしゃいませ』
お客様を歓迎する、よろこんで迎えていることばです。
また、「ご用があればよろこんで承ります」という意味も含んでいます。
あふれるような笑顔とともに表現しましょう。
*『ハイッ、かしこまりました』
受け答えはしっかりとした声で述べましょう。
ハイッという返事は、責任感の表明です。
また、「わかりました」では、幼稚な印象を与えてしまいます。

*『少々お待ちくださいませ』
語尾に“ませ”をつけて、指示をお願いのことばに変えます。

*『たいへんお待たせいたしました』
どんなに急いで対応したつもりでも、お客様は待っています。
目の前で即座に対応した時以外は、必要なことばです。

*『申し訳ございません』
お詫びのことばです。素直なことばでていねいに伝えましょう。

*『失礼いたします』
突然始まる対応は受け容れにくいものです。お客様に近づいたら立ち止まり、「失礼いたします」と声をかけます。
ことばを言い終えてから、次の動作を始めることも大切です。

*『おそれいります』
お客様にお願いをする時に、あるいはご協力いただいたお礼として使います。

*『ありがとうございます』
いつでも、どこでも、何度でも。
感謝のことばは、美しい心の表れです。

 

 

 

4.気持ちを伝える『あいづちのことば』3語

『話し上手は、聞き上手』と言われます。ただ黙って聞いていればよいのではなく、話をきちんと受け止めていることがわかるような“あいづち”を返したいものです。

*(うなずきながら)『そうでございましたか』
*『それはありがとうございます』
*『それは失礼いたしました』

5.覚えて使いたい『場面に応じた慣用句』12語

慣用句の中には、場面が限定されるようなものがあります。以下の6場面の12語をパターンとして覚えれば、たいへん使い勝手のよいものになります。

* 歓迎
『ようこそお越しくださいました』『お待ちしておりました』

* おたずね
『失礼ではございますが』『お差し支えなければ』

* 依頼
『お手数をおかけいたしますが』『ご面倒をおかけいたしますが』

* 伝言承り
『よろしければ私が承ります』『確かに申し伝えます』

* 確認
『いかがでございますか』『いかがいたしましょうか』

* 名前確認
『おそれいります、お名前をいただけますでしょうか』
『おそれいります、どちら様でいらっしゃいますか』

 

 

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