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大浴場での衣類の取り違えなどのトラブル

接客サービスの品質向上

大浴場にまつわるトラブルはデリケートな性質のことも多く、お困りの施設も多いのではないでしょうか。今回は、衣類に関する対応について紹介いたします。

質問

高齢のお客様が増えていることもあって、大浴場での衣類の取り違えや、どこに置いたかわからなくなったというお申し出が頻繁にあります。先日は、ある女性客が「下着だけを抜き取られた」というので騒動になりました。
その後、高齢の女性がポケットに入れて部屋に持って帰ったのを家族が見つけてフロントに言って来られました。事態は収まりましたが、下着を取られた女性客は「なぜそんなことをしたのか、本人に謝ってもらいたかった。フロントの対応も私のことを心配してはいなかったようだ」とこぼされました。このような時はフロントを含めどのように対応すべきでしょうか。
 

回答

お客様からの問い合わせを受け付ける人は、事故として重く取り扱うことが必要です。そして「出てきたらお知らせする」「代わりのものを間に合わせでご用意する」と基本対応を伝えることはもちろんですが、そのお客様の気持ちになって、どんなに困惑され心配になっているかに思いを寄せる表現を心がけましょう。
 

ことばの例

「ご心配とお困りのお気持ちはごもっともでございます。」
 
「見つかりましら、すぐにご連絡いたします。ご連絡は携帯電話とお部屋へのご連絡のどちらがよろしいでしょうか。・・・かしこまりました、それではお名前と携帯電話の番号を承ります。」
 
「間に合わせにはなってしまいますが、代わりのものをご用意いたしますので、奥のカウンターにお願いしてもよろしいでしょうか。」
※箱の中でご覧いただき、いくつかのサイズの中からお選びいただいたものを不透明な袋に入れてお渡しする。周囲に見えにくいように気を配ること。
 
「私どもとしても、何が起きたのかすぐにお調べしたいと思います。」
 

まとめ

その後の続きの対応は、できるだけ同性の現場リーダー以上の役職者が途中経過の報告なども含めて対応するなどして、誠実さと手厚い対応を表現することも大切です。故意で持ち出したとなれば犯罪ですが、これは捜査しなくてはわからないことです。お客様から要望があれば届出をしなければなりません。
 
多くの場合、下着は間違って持っていかれることや、今回のように痴呆などのために持ってきてしまうことが原因であり、届出はしないだろうと思いますが、だからと言って、持っていかれた物をお返しできれば終わる、ということではありません。
 
今回、「本人に謝ってほしかった」と最後にお客様から言われたとのことでしたが、それは本心であったと思います。ただ、私たちが「ご本人からお詫びしていただけないでしょうか」と持ちかける話でもなく、せいぜい、お相手の言葉をお伝えするだけのことで、どうするかはご本人やご同行の方次第ということになります。私たちは、気持ちよく収めていただくために意を尽くし、お気持ちを害されたお客様に共感を示したいと思います。
 

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