株式会社リョケン

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業務効率化への取り組み(15)マニュアル

マニュアル整備の進め方

体系のイメージを前回述べたが、だからといって上位レベルのものから取り組む必要はない。そんなことをしていては、いつになっても本当に必要な部分のマニュアルが出来上がらないし、進めているうちに目的を見失う。

 

しばしばある間違いは、経営者が総務部門や経営企画室といった人たちにマニュアル整備を指示し、「きちんとした」体系のもとに膨大な編さん作業が行われることである。こういうものは、見た目の体裁は立派になるかもしれないが、必要性よりも形式が優先となり、せっかく作っても一度も読まれない項目がいたずらに多くなる。それでいて肝心な「知りたいこと」が抜け落ちていたりして役に立たない。マニュアルの価値は現場で使われることにあるのであって、百科事典を作るのとはわけが違うのだ。結論を言えば、マニュアルは「必要とされるもの」から作っていくのが正しい。

 

(ⅰ)対象となる分野決め

まず「マニュアル作りの対象業務」を大まかに決める。いきなり全部でなく、優先度の高い業務から取り組むのである。

 

(ⅱ)チーム編成

その業務を担う部門の責任者と現場担当者の一部(または全員)でチームを作る。

責任者が必要な認識やバランス感覚、能力を備えていればメンバーはこれだけでよいが、そうでない場合は相応の能力を持った人(状況によっては経営者)が加わる。

 

(ⅲ)項目の洗い出し

マニュアルにしたい項目をとりあえず書き出していく。この時「業務・作業・動作」といったレベル区分(前回参照)はひとまず考えなくてよい。また年に数回とか月に一度といったものは後回しにして、毎日か、せいぜい数日単位で繰り返されることだけにまずは絞る。

 

(ⅳ)項目の整理

項目の全体を見渡して、不必要なものや、ひとまとめにできそうなものを、削ったり合わせたりして整理する。その上であらためて、それぞれの項目が「業務・作業・動作」のどのレベルにあたるかを判断して、「この動作はこの作業の一部」といった位置付けを確認する。この段階でさらに項目の統合もあり得る。

 

(ⅴ)マニュアル作り

項目ごとに、あらかじめ定めたフォームに内容を書いていく。この作業は分担して進めてもよいし、チーム全員で話し合いながら進めてもよい。フォームは、それなりに記入事項を定めておくスタイルも考えられるが、あまり細かく定めると実用目的から離れてしまう場合もあるので、必要最小限―「項目名(例:布団の敷き方)」「担当部署」「作成年月日」ぐらいでよい。(なお、もう少し合理的なフォームをご希望の場合は、弊社にお問い合わせいただければお送りします)基本的には、なるべく「1項目1枚主義」でまとめる。

 

(ⅵ)全体調整

ひと通り書き上がったところで、もう一度全体の整合性―矛盾、ダブり、大事な点の抜け落ちなどがないかチェックし、必要な調整を加えて、ひとまず完成である。

 

 

(株式会社リョケン代表取締役社長 佐野洋一)

 

※当記事は、2017年4月に観光経済新聞に掲載されたものです。

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