株式会社リョケン

旅館経営の知恵

-リョケン研究員が
お届けする経営のヒント-

集客経路の変化(3)

旅館経営タテ・ヨコ・ナナメ

⑤それでいいのか? ネット担当者

 弊社では何年も前から「ネット専任者」の必要性を訴えてきた。多くの旅館が、「ネット専任者」を設けることで扱い比率を大幅に高めている。それはそれでよい。
 ところがネット集客に関わることは何でもかんでも「ネット専任者(=ネットを扱える人)の仕事」というイビツな認識があまりにも社内に定着して、多くの場合、1人か2人のネット専任者に任せきりになってしまっている。
 ネット扱い比率が高まってくるにつれ、ネット上のプラン管理、予約サイト内での露出や集客の仕掛け、提供客室の出し入れ、予約処理対応といった「業務処理」が煩雑になった。そして「ネット専任者」はそれらに追われるようになってきた。彼らはそれら多種・大量の処理に手一杯で、ネット流通の全体動向を踏まえた軸足の置き方や、ブランド形成にも関わる商品コンセプトの統合性といった戦略的な対応ができない状況が生まれている。
 また彼らは、予約後のお客さま対応にまで手が回らない。まずいことに、ネットから入ってくる予約については、概してネット専任者以外の人の関心が希薄になっていることもあり、予約いただいたお客さまとのコミュニケーションがほとんど取れていないケースも多々ある。
 その結果、基本条件の確認程度しかなされておらず、事実上、宿泊当日になって初めてコミュニケーションするというような不安定な関係にある。
 よく考えていただきたい。ネット上のプランや客室在庫の管理と、ネット戦略対応、予約対応とは別物である。これらを1人の専任者にすべて委ねておいてよいのだろうか?
 仮に年間の売上高が10億円とすると、うち宿泊売り上げは一般に60~70%、6~7億円である。このうち半分がネット扱いだとすれば、ネット担当者(部門)は3~4億円の売り上げを担う重要なポジションといえる。
 かつて、旅館の営業マン1人当り年間扱い売上高の目安を1億円などと想定していた時代があったが、この物差しで言うならば、ネット担当部門は営業マン数人に匹敵する取り扱いをする部門ということになる。
 ネット扱いが半分とはなっていない旅館もまだ多いかと思うが、いずれ近い将来そうなるであろうと弊社では捉えている。またそうなっていくことが営業戦略として求められる時代なのだ。
 ネット対応は、もはや専任者1人の「一業務分野」でなく、会社・旅館全体で取り組む「重点課題」として捉える必要がある。当然、担当者は複数以上設置することが望まれる。そしてその担当者には、「役割」をしかるべく分担させることを考えていきたい。
 では具体的にどんな分担態勢をとっていくべきか、これについて次回は提言したい。

(株式会社リョケン 代表取締役社長 佐野洋一)

※当記事は、2016年4月に観光経済新聞に掲載されたものです。

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