株式会社リョケン

旅館経営の知恵

-リョケン研究員が
お届けする経営のヒント-

集客経路の変化(2)

旅館経営タテ・ヨコ・ナナメ

③料理の扱いを変える

 前回、料理スペックを中心とした商品アピールや競争から抜け出すべき時ではないかという問題提起をした。つまり再考していただきたいのは次のようなことだ。
 ・献立表の詳細が無いと売れないのか?
 ・料理の内容全体を写真で見せる必要があるか?
 ・季節替わり・月替わり料理の詳細を「事前に」知らせる必要があるか?
 ・料理献立の「本数」はいくつも必要なのか?
 ・料理内容は毎年変える必要があるのか?
 これらが旅館側の対応の幅を狭くしている要素であり、ひいては経営を圧迫する要因となっていることに思いをはせていただきたい。
 料理内容を変えるべきでないと言っているのではない。料理を毎年変えることよりも、季節や月によって変え、本当の意味で旬の(安価に仕入れることができておいしい)素材をよい料理に仕上げて、よい状態で提供することに意を注ぎたい。
 料理商品のラインアップを多種取りそろえることよりも、なるべく少ない献立本数に集約し、それで高い満足度を実現することを考えたい。
 3カ月先、あるいは1年先に宿泊する際の料理内容を、「確定」したものとして提示する必要がどれほどあるだろうか? 仮にあるとして、それは「団体客」だけではなかろうか。
 それも決定前の時点で必要な場合はあるだろう。しかし、その料理は1年あるいは半年間程度同じものとして、「季節によって材料・献立は変更します」のただし書きでよいはずだ。なぜなら、提示する必要のある相手は、その都度違う場合が大半だからである。
 旅館の販売促進の基本戦略はもう、団体客主流であった時の旅行社対応から、脱却してもよいのではないだろうか。
 逆に、ネットでの販売は1~2カ月の勝負である。何カ月も先の料理を提示する必要はない。要は「どういう料理が提供されるのか」「メーン料理は何なのか」といった、お客さまの確認したい内容が提示できればよい。
 前菜の内容など、料理献立の中の素材の一つ一つを「事前に」知る必要を感じる方はごく少ないのだ。
 詳細な献立表は、販売場面での切り札としてでなく、当日の利用の際に付加価値を高める目的にこそ使いたい。

④情緒的価値を取り戻せ

 旅館は定食屋ではない。「とんかつに味噌汁、お新香、サラダが付いていくら」という売り方から脱却して、宿泊利用時の新鮮な驚きや意外性を大切にしていくべきなのである。
 逆説的と思われるかもしれないが、ネット販売主流の時代はある意味で、旅館商売が情緒的価値を再び取り戻す良い機会といえる。なぜなら、個人が判断して選ぶ時代だからである。

(株式会社リョケン 代表取締役社長 佐野洋一)

※当記事は、2016年3月に観光経済新聞に掲載されたものです。

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