株式会社リョケン

旅館経営の知恵

-リョケン研究員が
お届けする経営のヒント-

旅館の「DX」を考える 4.ITシステム導入の進め方(前編)

旅館・ホテルのデジタル活用

ITシステムの導入はDX推進の一部であり、DX推進の前提には「将来ビジョン」があります。つまり、ITシステム導入の際には、将来ビジョンを踏まえた「経営方針」として取り組んでいることなのだという認識を社内で共有する必要があります。

(1)経営方針として進める

実際にIT機器を使うことになる現場スタッフが、導入を進める実務担当者に不満をぶつけることがあるかもしれません。あくまでこの取組みが、経営方針に沿ったものであり現場の一担当者の意向で進めているのではないことを理解してもらうことは、経営陣の役割になります。

 

(2)特定の部門、担当者に任せきりにしない

各施設には、日頃からIT機器やシステムの管理窓口になっている部署や担当者がいらっしゃることと思います。しかし、DX推進のための取組みは日常業務ではありませんので、新たな体制を整える必要があります。避けたいのは、「特定の部門」「特定の担当者」に任せきりにすることです。そして、導入後の運用も特定のスタッフに過度な負担がかからないように配慮する必要があります。旅館の場合、複数のメンバーが所属するシステム部門を設けているケースは少なく、さらに、専任ではなく他の業務との兼任の場合も多いと考えられます。宿泊業界に限らず、多くの日本の中小企業では、こうしたシステム担当者が1名もしくは不在の「一人情シス(ひとり情報システム担当)」「ゼロ情シス」問題を抱えています。

 

「一人情シス」とは、社内のIT関連の業務を一手に引き受けている担当者のことを指します。さらに、システム担当者として採用されたわけではなく、たまたまITの分野に明るいがゆえに任されたケースが多く、システム会社とのやり取りから日々のパソコンの不具合対応まで、様々な業務に追われ、担当者が疲弊してしまうケースが多いと言われています。ITシステムに関する業務が組織内で重要視されておらず、「この人に任せておけばよい」という空気が担当者を潰してしまうのです。

 

システム担当者を複数置くことが難しい状況下でこうした状況を避けるためには、各部署や個々のスタッフでも対応可能な範囲を設けるなどの環境整備と、社内の理解と協力が必須です。また、協力的な外注先を見つけることも一つの方法です。IT人材は今後、益々不足する見込みです。IT分野が得意な人材がDX推進で活躍できるよう、社内での理解と協力を促し、体制を整えることは、DX推進後の運用の場面でとても重要になります。

 

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