株式会社リョケン

旅館経営の知恵

-リョケン研究員が
お届けする経営のヒント-

旅館の電話応対の基礎と応用(1)魅力的な電話応対の基礎

読んで見直すシリーズ

従来は、予約も問合せもお客様とのやり取りの基本は電話だったので、 電話応対の重要性は自ずと理解されていたように思います。 今や電話によるやり取りの機会はかなり減りました。 ネット上では表現しきれない「親身になってくれる存在」をアピールできているのかどうか、顧みてみましょう。

第1週のテーマ:魅力的な電話応対の基礎
第2週のテーマ:電話応対の手順と慣用句
第3週のテーマ:スマートな取次ぎと伝言の承り方
第4週のテーマ:ファンを作る電話応対のヒント

 

1.声の出し方を意識する

目の前に相手の方がいる会話では、ことばが足りないところは、表情や動作がそれを補ってくれます。

電話では表情も動作も見えないのですから、印象は声でどのように表現できるかにかかっています。

まずは、『声の出し方』『口調』を振り返ってみましょう。
明るい声で、とよく言われますが、自分がどのような声か承知していますか。

また、元気な声も印象がよいですし、時にはおだやかな話しぶりと落ち着いた声が印象を高めることもあります。

逆に、残念なお話にはその気持ちが伝わるような声というものもあるでしょう。

それぞれの自分の声をイメージできますか。

同じことばでも、気持ちの違いは声に表れるものだと、誰もが考えるものです。試してみましょう。

 

1)「ありがとうございます」と、声に出して読んでみてください

 

2)誰かに向かっているつもりで「ありがとうございます」と

あいさつしてみましょう。自分の耳で聞いても、その違いは明らかでしょう。

 

1)は無関心な冷たい印象を与え、

 

2)は何らかの心の働き、この場合はうれしい気持ちが伝わっているはずです。

 

このように、ことばそのもので感情を表現しきれるものではなく、声の調子で感情が表現され、イメージを作り出しています。

心から喜んでいること、残念に思っていることが伝わるように、声の出し方を意識しましょう。

電話応対のことば遣いについて教わる機会は多いものですが、外に声の出し方を確認する機会はありません。

同じことばでも、無意識に出ることばと何かを意識しながら出ることばは、印象がまったく違ってくるものだということを心得ておきましょう。

 

 

 

2.姿勢を正す

立ち姿で会話をする時は、ピンと背筋を伸ばしている人でも、椅子に腰掛けて話をするとなると、背もたれに身体を預けたり、机に肘をついていたりすることがあります。当然、声の張りが違いますから、横柄に聞こえたり、熱意がないように感じさせてしまいかねません。

お客様が目の前にいなくても、応対中は姿勢を正す。気をつけたいものです。

 

 

 

3.元気な声の出し方

電話口の第一声は、元気な声を期待されています。

当たり前ですが、活き活きとした声は組織が活性化しているイメージを与え、お客様はそれを「いい旅館」「いいホテル」の第一印象に置き換えています。

元気のない声は論外ですが、元気のある声でも状況に適した気持ちのよい声とは限りません。特に、元気な声=勢いのある大きな声だと思っている場合、乱暴な印象を与えていることがありますので、注意しましょう。

さて、「明るく、さわやかに、元気に」とは欲張り過ぎでしょうが、そのように声を出すコツがあります。
それは、“声をおでこから出す”ことです。イメージを体感してみましょう。

 

 

1) まず、片手を額にあてます

 

2) その手を弓なりに前方少し上に向かって伸ばします

 

3) では、その動きに合わせてことばをつけてみましょう「おはようございます」

 

4) 張りのある声がいつもより少しだけ高めの声で発せられているか、よく聞きながら繰り返してみましょう

 

5) 今度は、片手を口にあてて、その手を前方少し下に向けて伸ばします

 

6) その動きに合わせてことばをつけてみましょう「おはようございます」

 

7)先ほどとは違う、暗いくぐもった声であることがわかりますか

 

 

実は感情を伴わずに出ている声のほとんどは、この後者のパターンなのです。

声をおでこから出すためには、自分の中に力をみなぎらせなくてはなりません。

それが、意欲であり、熱心さなのです。

 

 

 

4.優れた応対パターンを共有する

電話を受ける第一声のパターンは、外線・内線ともに決まっていることと思います。

もしも習慣的に「はい、○○ホテルですが・・・」と言っている人は、早く改めたほうがよろしいでしょう。

社会常識というものは、時代と共に変化するものであって、かつてはそれが違和感のないものであっても、

もはや時代遅れの向上心を失っている組織だと受け取られてもしかたあり

ません。

そんな話は私たちには当てはまらない、と思いましたか。

実はこの話は、どちらにも起こりえる話なのです。

日常的に電話に出ることになっている予約やフロント・総務などの部署では、もちろん問題はないと思いますが、電話に出られる人がいなかったり、夜遅い時間の警備の方が受ける時間だったりすると、どのように出ているか把握できていないことがあるようです。

お客様からすれば、だれが電話に出ようとそのホテル旅館の代表と捉え、その人の応対を通じてホテル・旅館の印象を判断するのです。

普段はきちんと対応していても、一人や一度の対応で評価が変わってしまいます。

これはもったいないことです。電話の前に『受け答えシート』を用意し、確認できるようにしておくなど、対策を考えましょう。

 

 

 

5.準備をする

電話応対の準備をする習慣がある人とない人では、毎日の積み重ねの中で大きな差が出てきます。

 

* 発声練習
職場の中でハキハキ話すことが大切 「あいさつ」「返事」「報告」
わざわざ発声練習の時間が取れなくても口をきちんと動かす習慣はつけられます。

 

* 利き手にメモ
伝言を聞くことになってからメモを探すようでは失格
相手の方が名乗るところからメモを取るクセをつけましょう
メモ用紙よりも保管できるノートや綴りのほうが紛失しにくいものです

 

* 問合せを予測する資料

自分の部署で承る質問に即答できる準備

資料を手元に用意することに加え、資料に目を通し予測を立てること
サービスの要点は、正確・迅速が優先順位の1番2番です
プロとしてお待たせしない心がけ

 

* 感情を整える
受話器を取る前に、一度息を吐いてみましょう
落ち着きと、気持ちの切り替えができます
お客様との応対を、顔が見えないからこそ、一つひとつ意識的に大切にしたいものです

第2回へ続く

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