株式会社リョケン

旅館経営の知恵

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業務効率化への取り組み(28)業務シフトの組み立て方 続き

「業務シフトコントロール」を組み立てる方法について、前回は、(ⅰ)シフト対象とする部署・業務の設定、(ⅱ)応援する業務の数、(ⅲ)業務と人員の全体像把握、の三つをお伝えした。これらは仕組みづくりの「手順」と言うべきものである。 今回はこれに加え、導入にあたり留意すべき「環境づくり」を加えたい。

(ⅳ)各部署の納得と合意

導入を円滑に進めるためには、事前に関連部署の納得と合意を得ることが肝心だ。これを省くと、現場からは必ずと言ってよいほど反発や不満、戸惑いの声が上がる。
「なんでそんなことまで私たちがやらなきゃいけないの?」「ここは忙しいんだから手伝ってもらうのが当たり前」「あそこの雰囲気はどうも苦手」など。
導入前、できれば導入を計画する前に、その意図(何のためにやるのか=全体最適)、そしてそのために各部署の前向きな協力が必要であることを丁寧に説明したい。

 

 

(ⅴ)指揮命令系統、権限と責任

ひと言で言うなら、「その現場ではそこの指揮官の指示に従え」である。仮に自分より下位の人や後輩であっても、その現場で指揮官であるならば、彼の指示に従って動かなくてはならない。このことを、協力する部署、してもらう部署双方の意識にしっかり据えておくことである。また、その現場の業務に関する「権限と責任」は、必ずその主管部署にあることを確認しておくことだ。「権限」が「指示」の裏づけとして必要なのは言うまでもないが、業務遂行の「責任」もまた、その主管部署が負わなくてはならない。

 

(ⅵ)シフトコントロー ラーの権限

日々の業務シフトを組み立てる人を「シフトコントローラー」と言う。この人には、しかるべき権限が与えられなくてはならない。そこを曖昧にしておくと往々にして反発が起こり、最悪の場合、「シフトに従わない」といった事態にもなりかねない。シフトコントローラーについては、トップないし総支配人から各部署の責任者に対して、きっちり立場を位置づけ、権限を担保してあげることが大切である。

 

(ⅶ)礼儀

部署を越えての業務なので、放っておけば「行ってやったのに」「来てもらったけど」といった不満が出る。これを防ぐには、最低限の礼儀を双方守ることだ。
応援に入るときには「○○をしに来ました」「ありがとうございます、よろしくお願いします」、引き揚げるときには「終わりましたので○○に戻ります」「ありがとうございました」の言葉をかけ合うことを徹底しよう。言葉が礼儀となり、礼儀が心に通じるのだ。

 

 

(株式会社リョケン代表取締役社長 佐野洋一)

 

 

※当記事は、2017年11月に観光経済新聞に掲載されたものです。

 

 

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