株式会社リョケン

旅館経営の知恵

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業務効率化への取り組み(13)マニュアル

今回より、業務の効率化に大きな役割を果たすマニュアルについて考えてみたい。

マニュアルの効用

業務の効率化のためには、「標準化」という考え方が欠かせない。
「標準化」とは何か?…
JIS(日本工業規格)では、「実在の問題又は起こる可能性がある問題に関して、与えられた状況において最適な秩序を得ることを目的として、共通に、かつ、繰り返して使用するための記述事項を確立する活動」と定義されている。
難しい表現だが、少しかみくだくなら、「最適な秩序」を実現することが目的であり、そのために「多くの人が共通に、繰り返し使えるようなもの(規則や指針やモノの特性)をつくり上げる活動」と捉えることができる。「誰がやっても、いつやっても同じようにできること、それが『最適な秩序』につながる」ということだ。「標準化」がこのような意味だとすれば、マニュアルの整備はまさしく標準化そのものであると言える。

 

 

旅館という商売は「デイリー」(日単位)を基本としている。ウィークリー(週単位)でもマンスリー(月単位)でもない。従って業務も、大半は毎日同じように繰り返される。「繰り返し」は、旅館のビジネスのひとつの特質なのである。またこれらの業務はほとんど人の手で行われる。つまり常に仕上がりが不安定となるリスクをはらんでおり、同時に労務負担や労務コストに直結している。

これらをマニュアルにより標準化することは、毎日の「繰り返し」を利点に変え、品質の安定化と労務の軽減をもたらすことになる。さらに加えると、新入社員など、その業務に精通していない人でも、マニュアル通りにやれば、そこそこ一人前の働きができる。また彼らに対する指導の場面でも、無駄がなく効率が良い。以上を整理すると、マニュアルは次の三つの意味で非常に価値がある。

 

(ⅰ)いつも同じやり方をすればよい→迷わず最適な方法をとるので効率が高まる。

(ⅱ)いつも同じ状態が再現される→提供商品のあるべき品質が確保される。

(ⅲ)誰でもすぐにできる→未熟練者の即戦力化が図れる。

 

一言に要約すれば、「速い、間違わない、誰でもできる」である。

 

マニュアルについてはしばしば否定的な意見もある。マイナス面もたしかにあるし、マニュアルが万能とも思わないが、そういう面にばかり目を向けて、短絡的に「マニュアルなど無用だ」と決めつけてしまうのはいかがかと思う。なお問題とすべきマニュアルのマイナス面については後述したい。

 

(株式会社リョケン代表取締役社長 佐野洋一)

 

※当記事は、2017年3月に観光経済新聞に掲載されたものです。

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