株式会社リョケン

旅館経営の知恵

-リョケン研究員が
お届けする経営のヒント-

集客経路の変化(4)

旅館はもっと良くなるべきだ

ネット対応は、会社・旅館全体で取り組む「重点課題」であること、だからもはや専任者1人の「一業務分野」でなく、担当者を複数以上設置するべきこと、またそれら担当者にはしかるべく「役割」分担させるべきであることを前回述べた。今回はその具体的な分担のあり方をお伝えしたい。

企画商品の造成から始まり、利用後の顧客フォローまで、一貫した流れの中でお客さまに対応していくことが大切である。

⑥ネット「担当者」の役割分担

(1)〔市場調査・商品造成〕…経営者・幹部社員…企画部門
 ・市場動向、ネットエージェントの企画商品傾向などを分析する。
 ・時代・自館にあった商品企画を造成する。
 ・ブランド形成との連動でネット集客を進める。

(2)〔商品のアップ・更新管理〕…ネット担当者…ネットオペレーション部門  
 ・販売商品(プラン)ラインナップを管理する。
 ・各チャネル別の客室在庫の更新管理を行う。
 ・空室管理、予約の先行管理を行う。

(3)〔ネットコンシェルジュ〕…予約・フロント…予約対応部門
 ・予約受け後のコンシェルジュ対応を行う。
 ・予約確認やオプションの対応、季節情報などの提供を行う。

(4)〔リアルコンシェルジュ〕…フロント対応…フロント部門
 ・直前確認および直前情報の提供を行う。
 ・当日チェックイン対応する。

(5)〔アフター・ネットコンシェルジュ〕…管理…顧客管理部門
 ・利用後のサポート、アンケート・クチコミ対応する。
 ・メルマガ管理、次回リピート促進する。
 ・顧客データの管理と活用促進(属性別管理など)。

 こうすることのねらいは以下である。
 (ⅰ)ネット予約サイトなどから予約してきたお客さまを、自社(HP)からの「直接予約へと転化」を図ること。
 (ⅱ)プラン表現や料金対応だけを近視眼的に追うのでなく、大局的なネット流通の動向をふまえた「戦略的なマーケティング」を行うこと。
 (ⅲ)予約してきたお客さまを「その時だけ」の単発で捉えるのでなく、「『その後』につなげる」こと。
 (ⅳ)そのために「合理的・効率的な方法」を研究・駆使すること。
 (ⅴ)そして何よりも、お客さまとの関係をネット上の無機質なつながりから、「愛顧」してもらえる「リアルなつながりへと転換」していくこと。

 これらを踏まえ、ある程度の規模の旅館では、できれば上記のような布陣を敷きたい。またたとえ小規模な旅館でも、少なくともこうした機能を持つことの意味を認識し、可能な限りの態勢づくりをご検討いただきたい。
 ネット担当者の仕事を「特殊な業務」という位置にとどめず、数多くのスタッフが関わる、関われる態勢を築いていくことが必要なのである。

(株式会社リョケン 代表取締役社長 佐野洋一)

※当記事は、2016年4月に観光経済新聞に掲載されたものです。

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