旅館経営の知恵
-リョケン研究員が
お届けする経営のヒント-
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【運営のヒント】滞在中の客室清掃と不用品処分
接客現場のオペレーション
滞在客室に置かれているものを処分対象にしてもよいのか、清掃担当者が判断に迷うところです。これを清掃担当者の判断に委ねるのはリスクがあると考え、責任者に確認するようにと定めていても、基準があいまいでトラブルになることがあります。今回は、滞在客に向けてのお知らせの一例をご紹介します。滞在客室清掃後に、このような書面をテーブルに置いておくことで、お客様にご理解いただくとともに、清掃担当者が安心してスムーズに作業できるようになるでしょう。
例)Dホテルズ 客室に設置されているリーフレット一部抜粋
ご滞在中の客室清掃について
■必ずご確認をお願い申し上げます■
本日も、Dホテルズにご宿泊いただきにありがとうございます。
ご出発までの客室について、ご案内をさせていただきます。
【清掃】
・SDGsの取り組みとして、滞在中お部屋の清掃はご要望制といたします。
お部屋の清掃をご希望の際は10時までに「部屋をしてください」のマグネット(青色)をドアの外に貼ってください。
タオル類の交換をご希望の際は、10時までに「タオル類をドア掛けしてください」のマグネット(灰色)をドアの外に貼ってください。タオル類をドアの前にご用意しますが、お部屋には入室いたしません。
※清掃のご希望を出されていない場合でも、3日に1回はお部屋を清掃いたします。あらかじめご了承ください。
・ご飲食中の品物、グラス(カップ)内に残っている飲料、ポット内の水については、処分の判断ができませんので、置かれておりました状態を維持させていただきます。
・バスタブに残り湯(水、入浴剤が入っている場合も含め)が入っている場合は、バスタブ洗浄のため、湯(水)を抜かさせていただきます。
・ご使用済みの消耗品は、ゴミ箱に入っていない場合、処分いたしません。
【清掃承り時間】
・10:00~13:30 のご不在時<マグネット(青色)がある場合のみ、もしくは清掃不要3日目のみ>
【お持ち込み品の処分】
・ゴミ箱に入っている品物。
・ゴミ箱に入っていない品物で、お客様ご自身よりフロントへ処分の申し出があった品物。お申し出が無い場合でも、弁当殻、弊社提供消耗品の空包装、ティッシュペーパー等は処分させていただきます。
【お客様への確認】
・お客様のお品物の取り扱いについて、判断できかねる場合は、置かれておりました状態を維持させていただきます。
客室にお戻りになられた際、ご不要のものがありましたら、ご連絡いただければ回収にお伺いいたします。
・清掃の際は、お客様のお品物には手を触れず、細心の注意をもって清掃を行わせていただきますが、ベッドメイク等の作業時に移動させていただく場合がありますので、予めご了承くださいますようにお願い申し上げます。
支配人
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宿泊施設が判断したことをお客様に了解いただきたい、という一方的な責任回避のための書面にならないように気をつけたいものです。
「ご不要のものがありましたら、ご連絡いただければ回収にお伺いいたします。」とあるように、基準を定めて清掃を行うなかでも、お客様ごとのご意向に沿うような配慮が大切でしょう。
忘れ物や清掃時の対応については、経験の浅い人や外国人スタッフの増加によってますます難しくなっているはずです。これを機会に、ぜひ全社でルールの共有と運用を進めてください。
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