株式会社リョケン

金太郎温泉 

経営革新計画に基づく「段階的商品力整備」

金太郎温泉 (富山県・魚津市)

金太郎温泉は、1965年8月に「金太郎温泉天神山健康センター」として開業。その後、1982年に「光風閣本館」、1988年に「光風閣別館」、1991年に「壁画大浴殿」「大宴会場棟」、2003年には日帰温泉施設「カルナの館」を新築し、本格的な温泉旅館として発展してきました。

経営革新計画による将来構想の実現へ

しかし2005年以降、旅行形態の変化など市場の流れに乗れず売上が伸び悩みました。そこで2010年から将来あるべき姿を示し、段階的に整備する経営革新計画を策定し、プロジェクト計画を推進してきました。計画に沿って、露天風呂付客室を備えた「別邸峰の界」や多目的ホール「ガイア」、和室ベッドタイプの客室や食事処など、段階的に整備を行い、時代の要望に応える「個人客対応」のシステム構築を着実に進めてきました。
さらなる変化に対応すべく、2019年から第Ⅱ期の経営革新計画を策定しました。新たに「リ・ボーンプロジェクト」と名付けた計画は、PART1が2019~2022年、PART2が2023年~2024年に商品設備を行いました。

PART 1~第一印象のインパクト~

「ロビーラウンジから客室へいたるまで、館内の雰囲気のイメージチェンジ」という役割を担ったステイラウンジ 「MOKU」は、「フリーラウンジ」として第二のロビーラウンジの機能を果たします。地元の天然木を活用した大小のテーブルを配し、照明器具も木製のオリジナル照明を採用した柔らかな印象を与える空間となりました。
売店「北前船」は、従来の旅館売店とは一線を画したお客様のお土産ニーズに応える施設として、斬新なデザインを採用、北前船で運んだ羅臼昆布などの海産物や錫製品「能作」特設コーナーなど、地域産商品のコーナーを設けました。カラオケクラブであった前施設の与える印象を大きく変えることになったスペースです。

MOKU 北前船

「MOKU」と「北前船」の誕生により、金太郎温泉が生まれ変わったような印象をお客様に与えることができました。さらに、富山の地酒をはじめとした日本酒と地産の素材を活かした料理を堪能できるコンセプトダイニング「蔵」を新設し、料理に対する取り組みを更に強化しました。

PART 2~料理スタイルの革新~

PART2では、稼働の低かった特別室をより快適にご利用いただけるお部屋へ改装し「露天風呂付きスイートルーム」、「富山湾ビュースイートルーム」へと名称も変更しました。
また、光風閣別館の和室を「デラックス和洋室」、「和室ベッドタイプ」へ改装し、新たに19室をベッド仕様へ変更しました。これにより、全館のベッド化比率は9割を超えました。

デラックス和洋室 和室ベッドタイプ

さらに、「思い出に残る食事体験」を提供するために、大宴会場を食事会場「Dining 瑞兆」へフルリニューアルしました。経営革新計画の第Ⅰ期に畳の和風ダイニングとしてプチリニューアルをしましたが、個人客化の進展スピードに合わせ、全面改装を行いました。会場、廊下、パントリー床レベルを合わせることで、ワゴン利用を可能にしたうえ、サービス動線と下膳動線を区分することにより、運営の効率を高めました。同時に、システムの更新も行い運営改善につなげました。

瑞兆_01 瑞兆_02

料理提供のスタイルも大きく変更し、事前セットを行わず一品ずつ提供する形式にしました。これにより、料理献立からカエン(固形燃料)を使用するメニューを排除し、できたての料理を良いタイミングでご提供する献立へ変更しました。「Dining 瑞兆」で富山湾が誇る季節の魚や富山の食材を味わえる「松会席」は、提供する際には一品ずつに丁寧な説明が添えられ、食材の持つ個性や旬の魅力をお客様に届けています。この提供スタイルにより料理一品一品が「主役」となり、お客様との接点も増えたことで、お客様満足度も向上しました。
▶2024年フルリニューアル「Dining 瑞兆」や2019年リニューアルオープン「Consept Dinig 菜波-napa-」の資料はこちらで公開中。

成果と今後の展望

これまでの継続的な改革、個人客対応の充実により、顧客満足度が向上し、収益性も改善されました。コロナショックにより一時的な収益減少も経験しましたが、このプロジェクトを通じて、段階的な商品力の整備を続け、さらなる飛躍を目指しています。
金太郎温泉は地域の魅力をさらに高め、多くのお客様から愛される施設へと進化を遂げています。