3分間アンケート「自社HP直予約促進対策の状況調査」報告
総務省の調査によると、令和6年時点でスマートフォンを保有している世帯の割合が90%を超え、SNSを利用している個人は全体でも80%を超えています。80歳以上で50%を超え、12歳以下を除くすべての世代で半数を超える利用状況となっています。
リョケン3分間アンケートでは2009年以降継続して予約経路の構成比、およびネット集客への取り組みについて調査を実施しており、8回目となる今回のアンケートでは、自社ホームページへ誘導するための取り組みとその効果、自社ホームページにおける直予約を促進するための対策とその効果についての回答項目を設けさせていただきました。
多くの施設で、自社ホームページへの予約の引き込みが重視されていることがうかがえましたが、オンライン旅行代理店(OTA)経由での販売が依然として高いということがわかりました。
現状を把握・確認し、これからのネット販促を強化するための参考資料となれば幸いに存じます。
1.調査概要
①アンケート回答数
▶ご回答旅館・ホテル軒数:52軒
●アンケートはメール及びFAX送付にて依頼
●調査期間:令和7年6月16日~7月2日
②回答旅館・ホテルの収容規模
▶客室数平均:71.0室
●小規模(~30室) 13軒/平均15.9室
●中規模(31~99室)24軒/平均56.9室
●大規模(100室~) 15軒/平均133.9室

ネット担当者の配置状況
①ネット担当者の人数
●全体平均 2.8名
●規模別平均 小規模 2.3名 中規模 2.3名 大規模 4.1名
②上記①のうち、専任で担当している担当者の人数
●全体平均 0.9名
●規模別平均 小規模 0.4名 中規模 0.4名 大規模 2.2名
「ネット担当者」は回答された96%の施設で配置されている。最も多人数の回答は13名。
専任で担当している担当者は全体平均で0.9名。専任の担当者は配置していないと回答した施設は21軒、40%であった。
2.宿泊予約経路の構成比率平均
①2017年・2020年・2022年調査との比較
年間宿泊客数=100%とし、直近1年間の宿泊予約経路の構成比率を過去の調査と比較。
オンライン旅行代理店(OTA)からの予約が全体の48.9%と5.3ポイント伸ばした一方で、自社ホームページでの予約は3.1ポイント、電話予約などの「直接予約」は5.0ポイントの低下が見られた。オンライン旅行代理店(OTA)へのさらなる集中が、直予約確保の取り組みを上回る結果となった。

②規模別 直近1年間の現況
直近1年間における宿泊予約経路の構成比率平均である。
・オンライン旅行代理店(OTA)の比率が小規模施設では54.6%と半数以上を占めている。
・ネット経由の予約(自社ホームページ+オンライン旅行代理店)は、規模別でも全て6割を超えており、小規模施設では7割を超えている。
・「自社HP」からの予約は小規模施設が最も大きく、20%を超えた。
・旅行社経由の予約は大規模施設では25%を超えているのに対し、小規模施設では10%以下に留まった。

3. 自社ホームページへ誘導するための取り組みについて
実施の有無
自社ホームページ誘導のために実施している取り組みを複数回答でご回答いただいた。
・94%の施設が自社ホームページへ誘導するための取り組みをしている。
・「HPの内容充実、更新促進」は92%が取り組んでいる。
・「Facebook、インスタグラム等のSNSの運用」は88%にのぼり、自社でのSNSの活用はうかがえたものの、「SNS広告」は40%に留まった。
・「SNS運用」の実施率は高いが「WEB広告」「インフルエンサーの起用」「SNS広告」は低く、費用をかけずに自社で運用している施設がまだ多いようである。

【規模別】実施の有無
自社ホームページ誘導のための取り組みの実施状況を規模別で比較した。
●小規模施設の取り組みでは「ホームページの内容充実、更新促進」が85%でしたが、「メールマガジン配信」は38%に留った。
●どの項目においても、中規模施設での実施率が高い傾向となった。

実施の効果
自社ホームページ誘導のために実施している取り組みについて、それぞれの効果や影響の大きさを聞いた。
●全体では「直接のご案内」や「WEB広告」が大きく評価されており、「ホームページの内容充実」も大きいが、「メールマガジン配信」や「インフルエンサーの起用」「SEO対策」の効果は小さい傾向とみられる。

4.自社ホームページでの直予約促進のための取り組み
全体の実施率
自社ホームページでの直予約促進のために実施している取り組みを複数回答でご回答いただいた。
・87%の施設が自社ホームページへ誘導するための取り組みをしている。
・「ホームページ上でのベストレート(最安値)保証の明示」は69%の実施率となった。
・「限定プラン」や「特典」などは6割を超える結果となったが、「館内の掲示・告知」や「来館時の直接のアピール」は約4割に留まった。
・「ホームページ内ポップアップツールの運用」はまだ37%に留まっている。

規模別の実施率
自社ホームページでの直予約促進のために実施している取り組みの実施状況を規模別で比較した。
・大規模施設では、全ての項目が60%を超える結果となった。規模の大きさと実施の有無が比例する結果となった。
・大規模施設で特に多いのは「自社ホームページ限定プラン」の87%で「館内掲示」も80%にのぼる。
・小・中規模施設では「ホームページ上でのベストレート(最安値)保証の明示」「自社ホームページ限定プラン」が多くなっている。
・中規模施設では「自社ホームページ限定特典」「ホームページ限定の館内利用クーポン」も5割を超えている。小規模施設では「直接のアピール」が5割以上で行われている。

実施の効果
自社ホームページ直予約促進のために実施している取り組みについて、それぞれの効果や影響の大きさを聞いた。
●施設の規模を問わず「ホームページ上でのベストレート(最安値)保証の明示」は効果が大きいが、「館内の掲示・告知」など来館者への直接のアピールは、いずれも効果は小さいという認識が多数。
●「自社ホームページ限定の館内利用クーポン」の効果は大きいとの回答は26%あったが、同時に効果が小さいとの回答は41%あり、二分化している

バックナンバー
過去の調査はこちらからご覧いただけます。
- 3分間アンケート「インバウンド集客と受入対策 状況調査」報告
- 「採用・育成・定着対策 状況調査」集計結果(第51回3分間アンケート)
- 3分間アンケート「自社HP直予約促進対策の状況調査」報告
- 3分間アンケート『Go Toトラベルの実施状況調査 第2弾』
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