株式会社リョケン

第96回 短観アンケート「2025年 春の実績 夏休みの見込み」

リョケンでは、全国の旅館・ホテル様を対象に、四半期ごとの実績や見込みをベースにした業界動向調査 「リョケン 短観アンケート」 を、継続的に行っております。
このほど、第 96回アンケート (6月実施分) の集計がまとまりましたので、以下の通りご報告させていただきます。
ご多忙のところご協力いただきました皆様には、心より御礼を申し上げます。
<調査期間:2025年6月2日~2025年6月16日、送付数:(FAX)788軒、回答数:38軒、回答率:4.8%、(eメール)641軒、回答数:45軒、回答率:7.0%>

春の実績 - 客数に伸び悩み。大阪・関西万博の影響は限定的

春(3月~5月)の実績についての回答をまとめました。
今回調査結果とともに前回2月調査の「春の見込み」と前年調査の「春の実績」とを比較しています。

●基本宿泊単価・総宿泊単価
基本宿泊単価・総宿泊単価ともに「上昇傾向」との回答が約6割と、前年と同程度ですが「下降傾向」との回答は前年と比べ、総宿泊単価で11.4ポイント上昇しており、前回調査の見込みと比べても増えています。また、旅館によって基本宿泊単価、総宿泊単価ともに、ばらつきが見られています。

●客数傾向
客数傾向は、前回調査で「増加傾向」との見込みが36.3%であったのに対し、実績では39.0%と、大きな差は出ませんでしたが「減少傾向」は前年および見込を上回る28.0%という結果となりました。特に近畿地方では35.7%が「減少傾向」と回答しており、大阪・関西万博効果は限定的であったようです。客数傾向においても、旅館ごとにばらつきがみられる結果となりました。

●規模別客数傾向
規模別の客数傾向では、中・小規模は40%以上が「増加傾向」に対し、大規模では31.8%に留まり、「減少傾向」が40%を超える結果となりました。大規模の施設で特に厳しい集客状況がうかがえます。

夏休みの見込み - 単価・客数ともに慎重な様子

夏休み(7月下旬~8月)の見込みについての回答をまとめました。

●基本宿泊単価・総宿泊単価
基本宿泊単価、総宿泊単価ともに「上昇傾向」との回答は半数を下回っています。
米の高騰をはじめとする物価上昇が旅行の手控えに繋がっているという意見も多くあり、慎重な様子がうかがえます。

●客数傾向
客数傾向(当館)でも「増加傾向」との回答は20.5%に留まりました。地域により大きな差が見られました。インバウンド客の減少が顕著に出ているというコメントがありました。
地域の客数傾向についての回答では、「増加傾向」が17.3%、減少傾向が37.3%とさらに厳しい見込みがみられます。
●規模別客数傾向
規模別の客数傾向(当館)では、小規模の「増加傾向」が14.3%に対し、大・中規模は2割を超えています。
一方、「減少傾向」は大・中規模は30%を超えているのに対し、小規模では19.0%に留まる見込みです。

●コメントから見える全体的な傾向
全体として、個人客や国内客の集客に伸び悩んでいる様子がうかがえました。大阪・関西万博が期待したような効果が得られていないというコメントもいただきました。米の価格上昇のなかで、単価を上げることで客数が伸び悩む結果となるのではという懸念があるというコメントもあり、集客方法に悩まれている施設が多いようです。
インバウンド客に人気の地域は引き続き、需要が高いというコメントも目立ちましたが、国内客の動向には慎重な見方のようです。

施設からのコメント(抜粋)

今回も多くのコメントをいただきました。米の価格高騰や、予約状況の伸び悩みなどのコメントが多くあしました。

【いただいたコメント(抜粋)】
・インバウンド苦戦傾向の為単価を上げて売上UP対策を行った(北海道・大規模)
・大阪・関西万博の影響で客足が少し弱い。大阪・関西万博後のお客様がかなり入れ込み良い。(秋シーズン)予想通りです(岩手県・大規模)
・客単価は上昇していますが、客数が減っている(福島県・小規模)
・3.4月春の集客に苦戦。5月好調。7月以降期待できるがグループ客層の動きに注目したい(福島県・中規模)
・米の価格が高騰し、旅行がさらに贅沢なものになった 気軽にいけない。会議団体が中心に集客中(群馬県・大規模)
・5月までは順調に集客できたが、一転、6月から7月・8月を含めて予約が減少傾向となっている。大阪・関西万博の影響、あるいは香港での日本における7月の災害予言、あるいはトランプ関税、等いろいろ考えられるが、要因は不明です。(山梨県・大規模)
・客室を含めて、料理、企画、対応、備品などの見直しとアンケート結果重視の徹底。外客が少なく、それを希望する日本人が来ている傾向がある。(三重県・大規模)
・大阪・関西万博は期待以下感がある。パンダの件が減少原因と予想。(和歌山県・小規模)
・夕食バイキングに変更したことによりファミリーの予約が増加した(島根県・中規模)
・5月以降は大阪・関西万博の影響で旅の行先が関西方面に向いている。韓国、香港など様々な出来事で動きが鈍化している傾向です。(大分県・中規模)