株式会社リョケン

第82回 短観アンケート「2021年 秋の実績 忘新年会の状況 冬の見込み」

リョケンでは、全国の旅館・ホテル様を対象に、四半期ごとの実績や見込みをベースにした業界動向調査 「リョケン 短観アンケート」 を、継続的に行っております。このほど、第82 回アンケート (11月実施分) の集計がまとまりましたので、以下の通りご報告させていただきます。

ご多忙のところご協力いただきました皆様には、心からの御礼とお見舞いを申し上げます。

秋の実績 - 単価は維持するも、客数は減少傾向

秋(9月~11月)の実績についての回答をまとめました。今回調査結果とともに前回調査の「見込み」と前年調査の「実績」とを比較しています。

 

●基本宿泊単価・総宿泊単価
基本宿泊単価・総宿泊単価ともに、3割が「上昇傾向」と回答しています。GoToトラベルにより高単価が伸びた昨年と比較しても、「横ばい」と合わせると7割を超える施設で単価は維持されていることがうかがえます。
地域別では、東日本で比較的単価の上昇傾向が多くなっています。

 

●客数傾向
客数傾向は「減少傾向」との回答が6割を超えており、動き始めてはいるものの、GoToの効果で急増した昨年同時期の水準には及んでいないようです。

 

●規模別客数傾向
規模別の客数傾向(当館)では、中規模、小規模の施設で「減少傾向」との回答が約6割であったのに対し、大規模施設では約7割とより厳しい状況が見られたものの、大きな違いはみられませんでした。

 

●コメントから見える全体的な傾向
GoTo効果で高単価の集客が大きく伸びた昨年と比較して、減少傾向とのコメントが多くみられました。
一方で、県民割、市民割が実施されている地域が増えているようで、その効果を受けたコメントも目立ちました。

 

忘新年会の状況 - 団体利用は未だ戻らず、減少傾向

忘・新年会の状況についての回答を右表にまとめました。前年調査の見通しと比較しました。

 

●客単価
客単価は前回見通しに対して、「上昇傾向」との回答は21.2%から14.3%に増加していますが、「横ばい傾向」は32.7%から46.2%に増加しました。

 

●客数傾向
客数傾向は、当館で「減少傾向」が63%という結果でした。減少傾向が8割と需要がほぼなくなった昨年と比べると、少しずつ動き出しつつあるものの、見込めているという回答はわずかでした。

団体利用は未だ戻らない、あるいは動き始めているものの、少人数化しているとのコメントが多くみられました。
企業の自粛傾向もあり、問合せがほとんどない状況で、「今年は忘新年会は受けないことにした。」といったコメントもみられました。

 

冬の見込み - 単価は上昇するも、客数見込は慎重

冬(12月~3月)の見込みについての回答をまとめたものが右表です。

 

●基本宿泊単価・総宿泊単価
基本宿泊単価、総宿泊単価とも「上昇傾向」と回答した施設は3割、「横ばい傾向」も含めると約8割となり、上昇した昨年の単価の維持、向上への期待がうかがえます。
地域別では、北海道・東北の総消費単価で「上昇傾向」が6割にのぼりました。

 

●客数傾向
客数傾向(当館)については「増加傾向」と「横ばい」の回答が約3割とばらつきがみられました。
GoTo再開が未確定な状況で、再開への期待と先行き不透明感による不安がうかがえます。

 

●規模別客数傾向
規模別の客数傾向(当館)では、規模が小さいほど「増加傾向」と回答する比率は高くなりました。小規模施設では47.4%が「増加傾向」と回答している一方、大規模では23.3%とより慎重な集客見込となっています。

 

●コメントから見える全体的な傾向
調査期間の11月時点では感染者数は低く推移しており、個人客から少しずつ動き出しているといった前向きな認識がコメントから伺えますが、団体客は未だ動きは乏しく、特に規模の大きい施設ほど、先行き不透明感が強く、厳しい見込状況がうかがえました。
GoToの再開に期待を寄せるコメントはたいへん多く、今後の業績は、感染再拡大の可能性や国や自治体の支援策に大きく左右されるとみられています。

 

施設からのコメント(抜粋)

今回も多くのコメントをいただきました。Go Toトラベルによる集客や単価の維持・向上の声が多く見られました。
一方で忘新年会は、厳しい状況とのコメントを多数いただきました。

 

【いただいたコメント】

●県民割キャンペーンと市のプレミアム宿泊券のおかげで予約増加しています。10月・11月は昨年比10%増。(宮城県)
●県民割がなくても通常営業できる喜びを感じて、社会に貢献している実感があります。(宮城県)
●12月以降は年末年始を除き、GoToが再開されるのを待つ人が多い。(山形県)
●GoTo再開含め今後の状況が読めないため、対策については様子見の状況。(島根県)
●GoToトラベルなど需要喚起策が未発表のため現時点では減少傾向。ただし、再開されると感染状況にもよるが増加傾向となる可能性が高い。(石川県)
●今年の秋はGoToもないし、ダメかと思っていたら、コロナ感染の急激な落ち込みで思っていたよりも動きが出てきました。(長野県)
●忘年会は減少している。毎年のお客様もキャンセルになっている。(新潟県)
●企業の動きは弱い。今年は忘新年会中止の企業も多い。12月に県民割の延長があれば、個人の動きが出ると思う。(福島県)
●当社は今期は忘年会は受けないこととした。新年会もコロナ禍の状況を見ながらの受け入れとする。(群馬県)
●緊急事態宣言が解除になり、修学旅行等の学生団体は戻ってきたが、一般の団体の宿泊は少ない。(滋賀県)

調査実施時点では感染者数の減少傾向がみられ、秋の実績では、前年のGOTO効果には届かないものの、集客が戻りつつある印象がありました。冬の見込みでも、地域ごとの県民割、市民割の効果やGOTO再開への期待がうかがえましたが、その後のオミクロン株感染拡大が高まっている状況もあり、まだ先行き不透明感は強いようです。

 

弊社では今後も各種アンケートを実施してまいります。今後ともアンケートへのご協力を 賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。