株式会社リョケン

第80回 短観アンケート「2021年 春の実績 夏休みの見込み」

リョケンでは、全国の旅館・ホテル様を対象に、四半期ごとの実績や見込みをベースにした業界動向調査 「リョケン 短観アンケート」 を、継続的に行っております。このほど、第 80回アンケート (6月実施分) の集計がまとまりましたので、以下の通りご報告させていただきます。

ご多忙のところご協力いただきました皆様には、心からの御礼とお見舞いを申し上げます。

春の実績 - 単価維持も客数傾向にはばらつき

春(3月~5月)の実績についての回答をまとめました。今回調査結果とともに前回調査の「見込み」と前年調査の「実績」とを比較しています。
 

●基本宿泊単価・総宿泊単価
基本宿泊単価・総宿泊単価ともに、前回調査時の見込みに対して「上昇傾向」との回答が大幅に増加しており、「下降傾向」を上回っています。
地域別では、北陸、東海、中国で「上昇傾向」との回答が5割を超えています。規模別では大きな違いはみられませんでした。
 

●客数傾向
客数傾向は、前回調査で「増加傾向」の見込みが7.2%であったのに対し、38.3%と大きく上回りました。「減少傾向」は55.3%となっており、前年同時期と比べれば動きはあるものの、第3波から第4波にかけての時期と重なる、混乱した状況がうかがえます。
 

●規模別客数傾向
規模別の客数傾向(当館)では、中規模施設で約5割が「増加傾向」と回答したのに対し、大規模では約2割にとどまっています。
いずれの規模でも、多くが「増加」か「減少」に回答が分かれており、入込状況には大きくばらつきがあるようです。
 

●コメントから見える全体的な傾向
前年同時期には休館していた施設も多く、実績比較としては特異な状況ではありますが、多くのコメントから、依然として需要の回復の見えない、困難な状況にあることがうかがえます。
 

夏休みの見込み - 回復が見えず依然悪化傾向

夏休み(7月下旬~8月)の見込みについての回答をまとめたものが左表です。

 

●基本宿泊単価・総宿泊単価
基本宿泊単価、総宿泊単価とも「上昇傾向」または「横ばい傾向」と回答した施設は6割を超えています。
地域別では、東日本で「上昇傾向」が2割を超えて比較的高く、規模別では大規模で「上昇傾向」が約3割となっています。

 

●客数傾向
客数傾向(当館)については「上昇傾向」との回答は8%にとどまり、約8割の施設が「減少傾向」と回答しています。地域別でも大きな差異はなく、全国的に客数の回復は見通せていないことがうかがえます。

 

●規模別客数傾向
規模別の客数傾向(当館)では、小規模施設で「減少傾向」との回答が8割を超えていますが、規模別での大きな差異は見受けられません。

 

●コメントから見える全体的な傾向
調査期間中は緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が継続しており、回答コメントからは、先行き不透明な状況が現れています。
都道府県の支援キャンペーンやワクチン接種の進行に期待する声も見られましたが、感染者数の推移や行政の対応により集客の動きが一変する状況に、慎重なご意見が多数となっています。
休館や営業を制限する施設が多い中、施設整備や商品力の見直しに取り組むことで、単価の維持・向上に取り組んでいるとの声もあり、困難な経営環境の中でも努力を続けられている様子がうかがえます。

施設からのコメント(抜粋)

今回も多くのコメントをいただきました。

【いただいたコメント】

●7月以降の先ゆきは非常に不透明で、現状の状況から大きな好転に移ることは厳しい(岩手県)
●緊急事態宣言の延長により、予約の動きが悪い(岩手県)
●県民宿泊プランなどで個人客を増やしているが、他エリアの集客が増えなければ厳しい(岩手県)
●閑散期にワ―ケーション対応にお部屋をリフォーム。夏休み~紅葉シーズンに向けDM発送などいたします。(宮城県)
●4月はかなり回復していたが、5月GW明けから再度下降線をたどった(栃木県)
●キャンセルが増え営業ストップの状態(群馬県)
●昨年は緊急事態宣言による休館が続き、本年も予約状況が伸びず、休館が多く、週末営業が中心(千葉県)
●春に関しては家族連れが減って、2名等の少ない人数での利用が多かった為,宿泊料金減少(千葉県)
●まん延防止と、緊急事態が出ていて、予約が止まる(神奈川県)
●休館日を設けつつも営業日を確保していた為、基本宿泊料金、総宿泊単価、客数傾向の上昇につながった(石川県)
●春は緊急事態宣言により、首都圏からの入込皆無(静岡県)
●本年は週末のみ営業し、昨年よりも少しお客様が来られていますが、一昨年の30%ぐらい(兵庫県)
●春の修学旅行のキャンセル及び夏の合宿(勉強・スポーツ)の中止などが大きく客数減少(熊本県)

このような状況ですが、ひき続き皆様に有益な情報をお届けできるよう活動してまいります。今後ともアンケートへのご協力を 賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。