株式会社リョケン

第76回 短観アンケート「2020年 春の実績 夏休みの見込み」

リョケンでは、全国の旅館・ホテル様を対象に、四半期ごとの実績や見込みをベースにした業界動向調査 「リョケン 短観アンケート」 を、継続的に行っております。このほど、第 76 回アンケート (7月実施分) の集計がまとまりましたので、以下の通りご報告させていただきます。

新型コロナウイルスの感染拡大により、旅館・ホテル業界において経営・営業に関わる長期にわたる甚大な被害は、極めて深刻な状況にも関わらず、ご協力いただきました皆様には、心からの御礼とお見舞いを申し上げます。

春の実績 - 新型コロナ緊急事態宣言により壊滅的な状況

春(4月~6月)の実績についての回答を、下記の通りまとめました。今回調査結果とともに前回調査の「見込み」と前年調査の「実績」とを比較しています。

 

●基本宿泊単価・総宿泊単価
基本宿泊単価・総宿泊単価ともに、前年調査に対し上昇および横ばい傾向が大幅に減少し、下降傾向が60%以上占める結果となりました。
全エリアとも、下降傾向の割合が高まり、新型コロナウイルスの影響により、単価を下げて集客せざるを得ない状況となったことが伺えます。

 

●規模別総宿泊単価
規模別総宿泊単価では、小規模施設ほど「上昇」または「横ばい」の比率が高く、客数が減少する中で、売上確保のため単価を維持していたとみられます。
※小規模施設(30室未満)、中規模施設(31室以上99室未満)、大規模施設(100室以上)
●客数傾向
客数傾向(当館)は、前年実績から大きく悪化し、ほぼ全ての旅館・ホテルで減少傾向の回答となりました。新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言の発出が、集客期のGW期間に休業せざるを得ない状況となり、壊滅的な営業状態となりました。

 

●コメントから見える全体的な傾向
多くの旅館・ホテルが休業に追い込まれ、GWは売上確保もできない状態となった一方で、6月頃より地域限定キャンペーン実施により、地元客を中心に宿泊客が戻りつつあるコメントも見受けられました。

夏の見込み - 客数の完全な復活までの道のりは遠い状況

夏休み(7月下旬~8月)の「見込み」についての回答を、下記の通りまとめました。

 

●基本宿泊単価・総宿泊単価
基本宿泊単価、総宿泊単価とも春の実績と比較して、「上昇」または「横ばい」の割合が高まっています。
総宿泊単価では、東日本は54.0%の旅館が「上昇」または「横ばい」ですが、西日本ではその割合が34.4%と低くなり、「東高西低」の傾向がみられました。

 

●規模別総宿泊単価
規模別の総宿泊単価では、春の実績とは逆に「上昇」傾向は、比率は少ないながらも、大規模施設で10.0%と、小規模施設に対して倍近くの比率を示しています。

 

●客数傾向
客数傾向については10%強の旅館が「上昇」または「横ばい」と回答しており、緊急事態宣言解除や、地域限定キャンペーンなどにより、春の実績と比べて若干上向きつつあるものの、やはりほとんどの施設で回復はまだ遠いようです。

 

●コメントから見える全体的な傾向
夏に向けても、夏休みの期間短縮や、様々なイベントの中止など、新型コロナウイルスが大きな減収要因となると答えた施設が多い一方で、自治体が繰り出した地域限定キャンペーンで、予想以上の売上を確保できるとのコメントも多くあり、Go Toキャンペーンへの期待の記述もありました。
また客単価について、キャンペーンも睨んだ高単価商品やプランの投入を予定しているとのコメントも多く見受けられました。

施設からのコメント(抜粋)

たいへん多くのコメントをいただきました。集客については、地域限定キャンペーンやGo Toトラベルに期待するものの、その効果は限定的とみている声が散見されました。
また、集客が見込めない中で、単価を維持、アップしようというコメントも複数ありました。厳しい状況の中でも先を見据えて運営の見直しや、SDGsなど新たな取り組みにチャレンジする経営者の声もありました。

【いただいたコメント】

●宿泊数減のため、安売りはせず販売(北海道)
●各自治体の助成金による支援はあるが、微増という傾向(青森県)
●県民宿泊プランなどで個人客を増やしているが、他エリアの集客が増えなければ厳しい(岩手県)
●新型コロナウイルス感染者増大による影響がまったく読めない状況だが、近隣を中心とした宿泊を拾いこむ方針に切り替え(福島県)
●夏の予約に関してもGo Toの動向待ちもあり動きは鈍い(茨城県)
●来年以降のことも考え、SDGsな施設作りに取り組んでいる(栃木県)
●「愛郷ぐんま応援キャンペーン」により、対前年で6月60%、7月75%まで回復(群馬県)
●7月の売上も前年比で20%、売れれば良しとしている。8月は前年比で50%位を目標としている(千葉県)
●首都圏の感染者数に影響を受けることを想定し、「横ばい」または「下降傾向」という予測(神奈川県)
●少人数でのオペレーションや業務を見直すチャンスになった(長野県)
●高額商品を提案し、単価アップをはかる(静岡県)
●市、県の補助金が出るが、旅館営業が続けられるか悩んでいる(熊本県)
●県及び市の行政の補助金等による予約客が少しずつ増えつつあるが、上昇傾向はゆるやか(熊本県)

弊社では今後も各種アンケートを実施してまいります。今後ともアンケートへのご協力を 賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。