株式会社リョケン

3分間アンケート「自社HP直予約促進対策の状況調査」報告

総務省の調査によると、2020年時点のインターネットの利用率は83.4%となりました。同調査では2019年に利用率89.8%と大きく伸びたところからやや減少に転じていますが、70歳代までの各年代で80%を超えており、70歳代でも59.6%が利用しています。
利用端末では、パソコンが50.4%であるに対し、スマートフォンは68.3%まで上昇しています。一方で、SNSの利用については、いずれの年齢層でも利用率が上昇しており、全体では73.8%となっています。40歳代までは8割を超えているほか、50歳代では75.8%、60歳代では60.6%と、高年齢層でも大きな伸びがみられました。

リョケン3分間アンケートでは2009年、2010年、2013年、2015年、2017年、2020年に続き、7回目の「予約経路の構成比調査」を実施するとともに、今回のアンケートでは、自社ホームページにおける直予約を促進するための対策についての回答項目を設けさせていただきました。
OTA経由の販売が主要チャネルとなり、一層拡大を見せる中で、自社HPへの予約の引き込みも多くの施設で重視され、比率が上昇していることがわかりました。現状を把握・確認し、これからのネット販促を強化するための参考資料となれば幸いに存じます。

1.調査概要

①アンケート回答数
▶ご回答旅館・ホテル軒数:45軒
●アンケートはメール及びFAX送付にて依頼
●調査期間:令和4年3月23日~4月8日

 

②回答旅館・ホテルの収容規模
▶客室数平均:72.9室
●小規模(~30室)      9軒/平均19.3室
●中規模(31~99室)23軒/平均53.8室
●大規模(100室~)  13軒/平均143.6室

回答規模別構成比

ネット担当者の配置状況

①ネット担当者の人数
●全体平均  2.6名
●規模別平均 小規模 1.7名  中規模 2.6名 大規模 3.3名

 

②上記①のうち、専任で担当している担当者の人数
●全体平均  1.1名
●規模別平均 小規模 0.4名  中規模 1.0名  大規模 1.8名

 

「ネット担当者」は回答された全ての施設で配置されている。最も多人数の回答は9名。専任で担当している担当者は全体平均で1.1名。専任の担当者は配置していないと回答した施設は 14軒、31.1%であった。

2.宿泊予約経路の構成比率平均

①2015年・2017年・2020年調査との比較

年間宿泊客数=100%とし、直近1年間の宿泊予約経路の構成比率を過去と比較。
●OTAからの予約が全体の43.6%と7.8ポイント伸ばしたほか、自社HPでの予約も6.7ポイントの上昇と大きく増えている。
●電話や営業担当者の獲得予約などの直接予約はわずかに上昇に転じており、大手、中小の旅行社経由は大幅に低下している。
●ネット予約(自社HP+OTA)の比率は62.9%まで増加している。

宿泊予約経路の構成比率平均

②規模別 直近1年間の現況

直近1年間における宿泊予約経路の構成比率平均を調査。
●OTAの比率が全体でも4割を超え、大規模施設では46.7%と特に大きく伸びている。
●ネット経由の予約(自社HP+OTA)は、規模別でも全て6割を超えている。
●大手旅行社、中小旅行社はいずれも大幅に低下しており、特に大・中規模施設で著しく低下している。
●直接予約は各規模いずれも前回から横ばいの結果となった。

直近一年間の現況

3.宿泊客1組当り人数の構成比率

①人数構成比の全体平均:1~2名の宿泊客の割合は全体で58.8%。この比率は規模が小さくなるほど高くなる傾向がうかがえる。(右:円グラフ)

 

②規模別の構成比平均:大規模では3~5名が36.0%と比較的多くなっており、それ以上の多人数のグループ・団体の割合は規模による大きな差異はみられない。

人数構成比の全体平均

4.自社HPでの直予約促進のための取り組み

①HPで告知している施設の割合 ②規模別の実施率

自社HPからの予約を促進するためにHPで告知していることを複数回答でご回答いただいた。
●「ベストレート(最安値)保証」を告知しているとの回答が最も多く、全体で64.4%であった。規模別では小規模施設で77.8%と最も多かった。
●自社HP予約限定の割引を告知している施設は28.9%であった。大規模施設では7.7%と低い結果となった。
●「館内利用クーポン」の提供を告知している施設は6.7%であった。
●「自社HP限定プラン」を販売している施設は28.9%で、大規模施設で最も多く38.5%であった。
●割引では「1,000円引き」という例が複数みられたほか、「売店商品10%割引」「ドリンクサービス」「貸切風呂無料」「タクシー送迎」といった特典がHP直予約の顧客に提供されている。

HPで告知している施設の割合 規模別の実施率

③「自社HP直予約」の構成比が30%以上の施設における実施率

「2.宿泊予約経路の構成比率」にて「自社HP直予約」の構成比が30%以上の施設の各取り組みの実施率の平均を算出した。
●全ての施設で「ベストレート保証」が採り入れられている。
●「自社HP予約限定割引」も実施率62.5%と多く取り組まれており、そのほかの対策も全体平均を上回った。

自社HP直予約の構成比が30%以上の施設における実施率

④項目ごとの実施施設における予約経路構成比

「4.自社HPでの直予約促進のための取り組み」の項目ごとに、実施している施設での予約経路の構成比平均を算出した。
●各項目とも、実施している施設では「自社HP」での予約が20%を超えており、「自社HP限定プラン」を販売している施設では27.6%にのぼる。
●「ベストレート保証」を実施している施設では、「OTA」経由の予約の比率が38.0%と平均を大きく下回っている。

5.HP直予約促進策の自社HPでの表示位置

①自社HPでの表示位置 ②規模別の表示割合

直予約を促進するための告知を、自社HPのどのページ、位置に表示しているかを聞いた。

 

●「トップページ先頭付近」に表示している施設が33.3%と最も多い回答となった。「トップページ中段以降」とあわせ、トップページへの表示は53.3%の施設で行われている。

 

●次いで「プランページ」での表示は28.9%であった。「予約システム」ページでの表示は低い結果であった。

 

●規模別では、「トップページ先頭付近」の表示は規模による違いはみられず、「プランページ」での表示は中・大規模で特に多くなっている。

 

●この他「トピックスページ」「予約フォーム」などへの表示例がコメントされている。

自社HPでの表示位置と規模別の表示割合

③「自社HP直予約」の構成比が30%以上の施設における表示位置

「2.宿泊予約経路の構成比率」にて「自社HP直予約」の構成比が30%以上の施設の表示位置の回答より算出した。
●HP直予約が多い施設では、HPでの告知状況も全体平均を上回っている。「トップページ先頭付近」「プランページ」での表示は50%となった。「予約システム」ページでの表示は特に平均(※)を大きく上回っている。※「①自社HPでの表示位置」グラフ参照

「自社HP直予約」の構成比が30%以上の施設における表示位置

④表示している施設における予約経路構成比

「5.HP直予約促進策の自社HPでの表示位置」の項目ごとに、表示している施設での予約経路の構成比平均を算出した。
●表示していると回答した施設では、いずれの表示位置でも「自社HP直予約」の構成比は20%を超えている。
●「トップページ先頭付近」に表示している施設では「OTA」からの予約は38.0%と予約経路構成比の全体平均を大きく下回った。同様に「プランページ」に表示している施設でも39.1%と低くなっている。
●表示位置を複数回答している施設では「自社HP直予約」の比率が高くなる傾向がうかがえた。

6.来泊利用者への自社HP予約促進の方法

宿泊されたお客様に「自社HP直予約」のアピール方法を複数回答で聞いた。

 

●HPでの告知と比較して、館内での直接の働きかけをしている施設は少ない結果となった。

 

●「チェックアウト時」にお伝えするという回答が13.3%と、この中では比較的多くなっている。

 

●その他のアピール方法として、「会員組織への入会案内」「直接予約限定のポイントカード発行」「宿泊割引クーポンの発行」「電話予約時、チェックイン時でのアピール」といった対応が行われている。

来泊利用者に実施している取り組み 規模別の実施割合