株式会社リョケン

第86回 短観アンケート「2022年 秋の実績 忘新年会の状況 冬の見込み」

リョケンでは、全国の旅館・ホテル様を対象に、四半期ごとの実績や見込みをベースにした業界動向調査 「リョケン 短観アンケート」 を、継続的に行っております。このほど、第86 回アンケート (11月実施分) の集計がまとまりましたので、以下の通りご報告させていただきます。

ご多忙な中でご協力いただきました皆様には、心からの御礼とお見舞いを申し上げます。

秋の実績 - 単価・客数ともに全国旅行支援の効果大

秋(9月~11月)の実績についての回答をまとめました。今回調査結果とともに前回調査の「見込み」と前年調査の「実績」とを比較しています。

 

●基本宿泊単価・総宿泊単価
基本宿泊単価・総宿泊単価ともに、「上昇傾向」との回答が約8割にのぼり、「減少傾向」との回答はごくわずかでした。
地域別でも、それぞれ「上昇傾向」との回答が多数を占めており、総宿泊単価では甲信越、北陸で「上昇傾向」が100%となっています。

 

●客数傾向
客数傾向は「増加傾向」との回答が約7割と多数を占めています。前回見込からも大きく好転しており、集客回復の実感が一層高まったことがうかがえます。

 

●規模別客数傾向
規模別の客数傾向(当館)では、中規模で「増加傾向」との回答が73.3%にのぼり、大規模、小規模でも6割を超えており、規模にかかわらず増加傾向が多数を占める結果となりました。

 

●コメントから見える全体的な傾向
継続されていた県民割に加え、10月11日にスタートした全国旅行支援の効果の大きさが反映される結果となり、単価、客数ともに底上げされたことが、多くのコメントからうかがうことができました。

 

忘新年会の状況 - 前年は上回るも、回復には至らず

忘・新年会の状況についての回答を右表にまとめました。前年調査の見通しと比較しました。

 

●客単価
客単価は前年見通しに対して、「上昇傾向」との回答は14.3%から34.2%に増加したものの、「横ばい傾向」が約半数となり、回答にはばらつきがみられました。

 

●客数傾向
客数傾向は、当館で「増加傾向」が25.3%と前年調査は上回りましたが、一方で「減少傾向」との回答が最も多くなっており、宿泊客の増加傾向に対して、宴会需要はまだ回復には至っていない状況があらわれているようです。

 

●コメントから見える全体的な傾向
一部で団体客も戻りつつあるとのコメントがみられたものの、忘新年会に対するお客様の様子見のムードが感じられており、宴会利用は未だ戻っていない、という声が多数となりました。
「忘新年会は受けていない」というコメントも増えているように見受けられます。

 

冬の見込み - 単価・客数ともに好転の期待高まる

冬(12月~3月)の見込みについての回答をまとめたものが右表です。

 

●基本宿泊単価・総宿泊単価
基本宿泊単価、総宿泊単価とも「上昇傾向」と回答した施設は約5割、「横ばい傾向」も含めると9割以上となり、前年以上の単価の維持、向上が期待されています。
地域別では、甲信越、関東、北陸の総消費単価で「上昇傾向」が5割を超え、北陸では87.5%にのぼりました。

 

●客数傾向
客数傾向(当館)については「増加傾向」が38.8%、「横ばい」と合わせると8割も超えるものの、見込状況にはばらつきがみられました。
地域別では、北陸、中国で「増加傾向」が6割を超えた一方、北海道・東北、四国・九州では3割以下という結果でした。

 

●規模別客数傾向
規模別の客数傾向(当館)では、中規模で「増加傾向」が43.2%、小規模で37.5%であったのに対し、大規模では29.4%と慎重な見込となっています。

 

●コメントから見える全体的な傾向
調査期間時点では全国旅行支援の適用期間が12月20日までであったことから、この冬の見込みについては、支援策の効果への期待以上に、終了後の集客鈍化への懸念が数多くコメントされていました。その後、延長が決定しており、実績動向に注目したいと思います。
個人客化、小人数化が進み、団体の戻りが未知数な状況で、先行き不透明感がまだ残っているようです。客室改装など、商品整備に着手しているとのコメントも目立ちました。

 

施設からのコメント(抜粋)

今回も多くのコメントをいただきました。全国旅行支援のスタートによる集客回復の声が多く寄せられました。
一方で忘新年会については受けていない施設も増えているようで、グループ・団体の需要は未だ厳しい状況がうかがえました。。

 

【いただいたコメント】

●原材料、エネルギー費等の高騰による料金の値上げ。(宮城県)
●県民割、全国旅行支援の影響で好調(群馬県)
●近場の旅行から、全国割により、遠距離旅行に切り替わった。(千葉県)
●食材価格値上げにより一部宿泊プランの料金改定しました。(新潟県)
●「全国旅行支援」の予算が上限に達したため新規予約が鈍化しています。(香川県)
●忘年会・新年会予約は若干入ってきたが、大多数はまだ戻ってこない。(栃木県)
●人手不足のため、宿泊を伴わない、忘新年会の予約を取らない。(滋賀県)
●地元の忘年会新年会はもうすこし様子を見ようというムードが強い。(兵庫県)
●旅行支援の延長があるかどうか。消費者も様子を伺っている状態であり、予約の動きは鈍い。(千葉県)
●露天風呂付、部屋食が良く売れる。グループは、少人数化するがお金は使ってくれる。(群馬県)

継続されてきた地域ごとの県民割と10月にスタートした全国旅行支援により、集客の回復傾向がみられました。一方で、12月20日以降延長が発表される前の調査であったため、支援の終了後の反動減への不安もうかがえました。

まだ先行き不透明感は強いものの、旅行マインドの回復の実感が少しづつ強まっているように感じられます。

 

弊社では今後も各種アンケートを実施してまいります。今後ともアンケートへのご協力を 賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。