旅館経営の知恵
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5.オールインクルーシブ
これから注目すべき旅館業界のキーワード12
オールインクルーシブ
「年間平均の1人当りの原価は1,000円以下でした。もう少しグレードアップしても大丈夫ですね」
ある温泉地の20室規模の小規模旅館の支配人のコメントです。リフレッシュオープンに際し、思い切ってオールインクルーシブシステムを採用、従来の販売単価の倍近い2万円弱の料金でスタートしました。オープンして1年もたたない内にコロナ禍の影響を受け、本来の計画値に達していませんが、しっかり固定客をつかみ、高い評価を得ています。客室にお風呂が無いため、大浴場(男女)と貸切風呂1ケ所でカバーしている宿です。それでも料理、接客、寛ぎスペースをしっかりプロデュースすれば、支持してくれる顧客層は必ずいることを実証している例だと思います。
「オールインクルーシブ」システムに関しては、先行している施設も多くあり、徐々に市場に認知されてきています。「精算の心配なく、滞在中自由に寛げることに価値を感じる層」あるいは「料金の心配なく楽しい時間を過ごしたいと考える旅(目的)」が少なからずあるということです。オールインクルーシブを実施するときのポイントは、「単に飲み放題、食べ放題、遊び放題であれば良い」と捉えず、「楽しく、喜んで利用しているシーンやお客様の姿を想像して環境を創っておくこと」です。
先にご紹介した施設の場合、食事会場での飲み物フリーの他は、ロビーラウンジでのフリーサービスだけで対応しています。そこで提供されている品々はお部屋へ持ち帰っても良いシステムになっており、1ケ所のフリーサービスで評価を得ていることに学ぶべき点があります。
最近はチェックアウト、精算業務の簡略化、混雑回避のため、早めの精算・会計を促進しているケースが増えていますが、オールインクルーシブにすると、予約の時点から料金の支払いも完了可能となり、その意味でも大変有効なシステムです。
個人客化が進んだため、館内付帯売上の減少、施設の営業休止など、大きな課題を抱えているのではないでしょうか? 今ある施設を有効に活用する観点からも「オールインクルーシブ」システムを検討する価値はあると考えます。
※すべてのお客様に適用せず、カード認証システムを使用して、特定のお客様(商品プラン購入客)だけに対応している例もあります。
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